【湘南】「ブーイングされてもいいと思った」。主将・高山薫は試合後の拍手に何を思うか

2016年10月23日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「サポーターが残り2試合を見る意味をなくしてしまった」

大宮に敗れ、J2降格が決定。高山は「サポーターが残り2試合を見る意味をなくしてしまった」と唇を噛んだ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

「正直、ブーイングされてもいいと思っていた」
 
 勝たなければJ2降格が決まる、そんな必勝の戦いで2-3と敗北。52分までに3失点を喫し、その後に2ゴールを返すという反発力を見せたものの、追い越すどころか追い付けもせず。主将の高山薫は無念さとともに、主審の笛を聞いた。
 
 だからこそ、である。「サポーターが残り2試合を見る意味をなくしてしまった」悔しさを抱え、高山は冒頭の言葉を吐き出した。もちろん、それは決して諦めずに声を枯らしてくれた12番目の戦士たちへの不満ではない。むしろ感謝に近い。
 
「埼玉まで足を運んでくれて、勝たなきゃいけない試合で負けて、それでも拍手してもらえる。そのありがたみを感じながら残り2試合を戦わなきゃいけないし、絶対にJ1に戻ってこなきゃいけない」
 
 それと同時に、挨拶の瞬間は自身の力のなさと不甲斐なさをまざまざと見せつけれる瞬間でもあった。高山は「(最後にブーイングではなく拍手をもらって)本当に一番悔しい気持ちになった」という。
 
 スタンドには憤っていた者もいただろう。悔し涙を流していた者もいただろう。悲しみに暮れていた者もいただろう。それでも、すべての想いを胸に押し込んで、ピッチに立って"湘南スタイル"を体現しようと奮闘した選手たちの戦いぶりを讃えてくれたのだ。
 
 喜びの拍手にできなかった――。その気持ちばかりが、駆け巡る。
 
「シーズンを振り返ったら降格の要因はいろいろとあるのかもしれない。でも、単純に力不足だったなと思う。いい試合をしても負けたり、勝てそうな試合を引き分けにされたり。
 
 例えば今日の試合で言えば、大宮は決めるべきところで決めて、最後の最後はしっかりと守って勝ち切った。主将をやらせてもらって、そういう意味では自分の力不足を感じている。
 
 昨季と今季で、『何かが違う』とか『力が劣っている』とは思っていない。むしろ、良い形で攻撃をできた時はものすごく手応えがあった。そういう良さがあるのにチームを引っ張りきれなかったから……」
 
 力あるものが勝ち、力なきものが負ける。今回は後者だった。しかし、結果に打ちひしがれて、その歩みを止めてはいけない。
 
「ベルマーレは成長できるチームだと思うから、スタイルをブレさせずにみんなで切磋琢磨すれば、もっとパワーアップできる」と、「そうすればJ1で8位に入った去年よりも強くなれる」と、高山は信じている。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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