【浦和】槙野が明かした優勝の舞台裏。「ひとりだけキャプテンの言葉を無視して…」

2016年10月16日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「これまでの悔しい経験が僕らを強くした」

満面の笑みでトロフィーを掲げる槙野。失点後も焦りを見せずにG大阪の攻撃を撥ね返した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァン杯決勝] G大阪1(4PK5)1 浦和/10月15日/埼玉スタジアム2002
 
 PK戦の末に辿り着いた歓喜だった。国内3大タイトルを初めて手にした槙野は試合後、率直にその想いを語った。
 
【ルヴァン杯決勝 PHOTO】G大阪 1(4PK5)1 浦和|激闘の末浦和が13年ぶり2度目のリーグカップ制覇!

「まさか120分までいくとは思わなかったです。何より我慢すること。(ナビスコカップで※ルヴァンカップの旧名称)2013年に決勝に行った時もそうですし、天皇杯やゼロックスもそうですし、先制点を奪われて自分たちでバランスを崩して結局はそこで負けてしまった。その反省と悔しい経験が僕らを強くした。だからこそ追いつくことができました」
 
 17分、槙野はG大阪のアデミウソンのドリブル突破を止め切れず、目の前で先制点を許してしまった。槙野自身はこの決勝戦、コンディションに不安を抱えていたという。日本代表としてオーストラリアから帰国したのは試合から3日前の12日。そこから急ピッチで調整を続けてきた。
 
「個人的には代表に参加して、(ルヴァンカップでの)ほかの選手の活躍を見ていました。監督からは、代表から帰ってきた時に(決勝で)起用するということを言われました。コンディションのところで言い訳にならない、プロフェッショナルの部分を見せてほしいと。実際、プレッシャーはありましたし、今まで頑張ってきた選手たちをベンチに追いやってしまったという気持ちもあった。でも、みんなしっかり応援してくれましたし、タイトルへ向けて団結できました」
 
 チームメイトの想いに押されながら槙野は奮闘する。「絶対に追いつける」と信じてプレーを続けた。すると、チームも後半は主導権を握り、ゴールへと近づく。この背景にはある変化があったと槙野は話す。
 
「(後半は)攻撃に厚みに加えることを意識しました。具体的にはボール回しで(ボランチの)阿部選手を(最終ラインに)落とさないようにしました。前半はボランチの選手を最終ラインに落として、ボールを回していましたが、後半は後ろの3枚でつないで、中盤を厚くするように変えました。
 
 相手のアデミウソン選手に対して森脇選手を前に上げてケアしてもらい、遠藤と僕でしっかりリスク管理することで、セカンドボールを拾い、攻撃に厚みを加えました」
 
 こうしてペースを掴んだ浦和は途中出場の李のゴールで同点に追いつき、戴冠へのプロセスを作り出した。
 

次ページ「目標は口にするもんだなと……」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事