幾度も好パスを披露した香川「もっともっとトライしていかないと」

2016年10月15日 山口裕平

「仮に前半プレーしたとしても、ボールを収めるのは難しかった」

ある程度、自分の持ち味を発揮できたと言えよう。厳しい状況が続く香川だが、このヘルタ戦を浮上のきっかけとすることができるか。 (C) Getty Images

 ドルトムントの9月の好調を支えたカストロとゲレイロの両インサイドハーフを怪我で欠き、ポジション奪還へ向けチャンスと思われた香川だが、トゥヘル監督が選んだのはゲッツェとロデだった。
 
 ゲッツェが攻撃的な役割を担う分、もうひとりは守備で計算のできるロデを起用し、攻守のバランスを図ろうという狙いの采配と考えるのが妥当だ。
 
 しかし、ドルトムントはボールを支配しながらもヘルタの組織的な守備を攻略できず、前半は2本のシュートしか打てなかった。
 
 攻撃のスイッチとなるべきゲッツェはシュタルクからマンマークを受け、ほとんど何もできず。ベンチから見ていた香川も、「仮に僕があそこでプレーしたとしても、前半、あれだけ厳しい展開のなかでボールを収めるはなかなか難しかっただろう」という見解だった。
 
 51分に先制を許したドルトムントは、60分にゲッツェとロデに代えて香川とデンベレを投入し、同点ゴールを狙いにいく。本来はウイングのデンベレがやや下がり目で攻撃を組み立て、香川はやや前の位置でボールを引き出す役割を担った。
 
 ボールを受けた香川が狙ったのは、逆サイドへダイアゴナルなボールを送ること。GKにセーブされた65分のオーバメヤンのシュートも、香川が左足でエリア左のエムレ・モルへ送ったパスから生まれた。
 
「ああいうトライをする必要あるし、特に自分は、そういうところでリスクを負ったり、違いをどれだけ生み出せるかって意味では、もっともっとトライしていかなきゃいけないと思っているので」と、香川は試合後にその意図を明かした。
 
 さらに75分には、パク・チュホのクロスから香川が左足でシュート放ち、これが原口の左手に当たってPKを獲得する。同点ゴールに繋がる決定的な仕事をしたかに思われた香川だが、オーバメヤンが蹴ったこのPKはGKにセーブされ、結果には繋がらなかった。
 
 それでも攻撃の手を緩めなかったドルトムントは、80分にデンベレのクロスに走り込んだオーバメヤンが合わせて同点ゴールした。
 
 一気に逆転ゴールを狙いたかったが、83分にエムレ・モルがファウルを受けた後に相手を突き飛ばして退場したことでペースダウン。結局、試合をひっくり返すことはできなかった。
 
 試合後、香川は「勝てる試合だったでしょう」と振り返った。ドルトムントは終盤に何度も決定機を作り、PK失敗もあった。ホームだったことを考えても、勝ちたかった試合だ。
 
 ただ、火曜日にはアウェーでチャンピオンズ・リーグのスポルティング戦を控えている。「(勝たないと、という雰囲気は)もちろんあったし、失望はすると思いますけど、まぁ(気持ちを)切り替えてやりたいと思います」と、すでに香川は次の試合に目を向けていた。
 
文:山口 裕平
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