【日本代表】ハリルも頼らざるを得ない“ピッチの中の判断”

2016年10月08日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「麻也君が上がったから、ロングボールっていう意識でした」(酒井高)。

イラク戦の最終盤、選手たちの判断で繰り出したパワープレーの結果、劇的な勝利を呼び込んだ。(C)SOCCER DIGEST

 選手たちの「自主性」が、イラク戦の劇的な勝利を呼び込んだ。
 
 1-1で迎えた終盤、日本はCB吉田を前線に上げて、パワープレーに出た。だが、高さを重視する攻撃はハリルジャパンの得意とするところではない。指揮官自ら、「空中のボールをほとんど要求しない」と語る。
 
 それでも、勝ち越し点を狙う日本は吉田を目がけてロングボールを放り込み、ゴールをこじ開けようとした。
 
 土壇場になってハリルホジッチ監督が考えた方を変えたのか? 違う。パワープレーは"ピッチの中の判断"だった。
 
「みんなから『行け! 行け!』と言われたし、僕もタイミングを見て、(前に)行こうと思っていた」(吉田)」
 
 結果的には、前線にポジションを取っていた吉田が敵陣深くでファウルをもらい、これで出たFKのこぼれ球から、山口の豪快な決勝ミドルが生まれた。
 
 どうすれば勝ち越し点を奪えるか。選手たちは監督からの指示をただ待つだけでなく、自分たちで考え、判断し、行動に移した。そして、欲しかった勝点3を手中に収めた。
 
 パワープレーの練習はしていなかったという。だが「麻也君が上がったから、ロングボールっていう意識でした」と酒井高徳が語るように、意思疎通に問題はなし。焦る時間帯でもチームはひとつにまとまっていた。
 
「(得点を狙うシチュエーションで)ゴール前にいかに運びたいかとなれば、ロングボールが一番、効果的かなというのは、自然な流れだと思う。そうやって自分たちが自主的にプレーできるのは、臨機応変に対処できるということ」(酒井高)
 
 難しい戦いが予想されるオーストラリア戦でも再び、一枚岩の結束で勝利したい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
 
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