【プレー分析|原口元気】得点シーンに凝縮された“成長の跡”。パーソナリティの強さも発揮

2016年10月07日 高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト)

カウンターの起点となり、フィニッシュまで完結させた。

26分に先制点を奪った原口だったが、前半の見せ場は少なかった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

【ロシア・ワールドカップ・アジア最終予選】日本 2-1 イラク/10月6日/埼玉スタジアム2002
 
 ハイライトはなんと言っても、26分の得点シーンだろう。右サイド深くに切り込んだ清武弘嗣のグラウンダーのクロスに反応し、右足のヒールキックで鮮やかにネットを揺らした。
 
 特筆すべきは、このカウンターの起点となったのが原口だったことだ。相手の横パスをカットし、そのまま80メートル近くを猛ダッシュで駆け抜け、フィニッシュまで完結させた。
 
 この得点シーンに、原口のここ最近の成長ぶりが見てとれる。迅速な攻守の切り替えや質の高いオフ・ザ・ボールの動きはヘルタ・ベルリンで習得したものであり、いまやストロングポイントのひとつとさえ言える。
 
 しかしながら、前半の見せ場はこのシーンだけ。15回のプレー機会のうちボールロストは5回で、特に立ち上がりはトラップミスやパスミスが目立った。パスは10回のうち8回を成功させているが、バックパスや横パスがほとんど。アタッキングサードに入ってドリブルで仕掛けた回数に至っては、14分に相手のファウルを誘った1回だけだった。
 
 なぜ、原口は"沈黙"してしまったのか。後方から見ていた左SBの酒井高徳はこう説明する。
 
「そもそも、元気はボールに触れる回数が少なかった。モリ(森重)くんがボールを持った時に、少し裏を狙う意識が強すぎたかなと思います。相手の陣形も崩れなくて停滞した感じがあったので、後半はまず僕がパスを受けて、そこから元気の足下に繋ぐ形にして(原口に)どんどん前を向かせようと。マークしていた23番(ワリード・サリム)も、元気に前を向かせないような守り方はしていなかったので」
 

次ページ同点ゴールを喫した60分以降に仕掛けの積極性が増す。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事