【日本代表】本田の静かな苛立ち。「20年くらいサッカーをしてきて、それくらい分かるやろ、と」

2016年10月07日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「この感じだとダメ。もう少しずる賢さが欲しい」

イラク戦は右ウイングで先発出場した本田。写真:(C)SOCCER DIGEST

[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]日本 2-1 イラク/10月6日/埼玉
 
 劇的な形でイラクを破ったが、本田は淡々としている。

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「楽観視はしていません。これはこれ。次は次だという切り替えが大事かなと。本当に次につないだというだけの認識なので、一喜一憂せず、今日は今日で喜べばいいですし、でも明日からは切り替えて、オーストラリア戦に向けてチームとして準備したい」
 
 本田の口から出てくるのはどちらかと言えば反省の言葉ばかり。イラクとの一戦を振り返るコメントには、少し苛立ちが混じっているようにも聞こえた。
 
「監督の指示以外のことが起きたときの対応、それは選手各々がピッチの上で感じてやらないといけないところ。そのいわゆるプラスアルファのところは、何人か近い選手と話し合いながらとか、ここまで出た課題とか、特に戦術的な部分でね、付け加える意識は持っている。
 
 ただ、今日もまだまだ。組み立て、ポジショニングの部分の課題は多いかなと。ここにいれば簡単に崩せるという場面での意思統一、そこに関しては改善が必要かなと、もっと簡単に崩せると思うんですよね」
 
 とはいえ、限られた時間で試合に臨む代表チームでその意思統一を図るのはなかなか難しい。だからこそ、本田は「プラスアルファ」が重要になるという。
 
「(代表チームの試合では)基本、やりたいようにやる。サッカーってやらされて良いプレーができるわけではないので。とはいっても、ベーシックを作るのは監督。そのベースに乗りながらプラスアルファ、選手が得意としているプレーをピッチ上で加えていく意識を持たないといけない。選手が窮屈に感じて、自分の特長を出せなかったら意味がない。自信を持ってやるってことじゃないですかね」
 
 課題が多い状況下で迎えるオーストラリア戦は、イラク戦以上に「厳しくなる」。本田はいつもの独特な言い回しでチームに注文をつけた。
 
「アウェーでしょ。想像以上に押し込まれるシチュエーションになる。僕の頭の中ではそう描いています。この感じだとダメ。もう少しずる賢さが欲しい。アウェーではアウェーでの戦い方がある。誰かが身体を張って2~3秒キープしただけでも、天と地の差ぐらいシチュエーションが変わったりする。
 
 クリアする場所とか、本当に細かいんですけど、その辺の意思疎通というか、もう意思疎通じゃないですね。サッカーをやっていれば分かるだろというところを、どれだけピッチに立っている選手が分かるかですよね、苦しい時に。

 本当にそれぞれの判断。そんなことをすり合わせている時間もないし、ここまで自分で築いてきて、20年くらいサッカーをしてきて、それくらい分かるやろ、というところなので。阿吽の呼吸みたいなものがないと、オーストラリア戦は勝点3を取れないと思っています」
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