【識者の視点】金崎を無期限追放としたハリル監督の判断は妥当?--vol.2「トルシエと松田のような関係になれれば…」

2016年09月22日 二宮寿朗

金崎の行為は行き過ぎだが、罪を犯したわけでも、ルール違反をしたわけでもない。

交代時に石井監督との握手を拒否し、激高して詰め寄ろうとした金崎(写真)の行動を、ハリルホジッチ監督は「彼の態度は受け入れがたい」とした。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 クラブ内で監督と衝突した鹿島アントラーズの金崎夢生に対し、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は無期限で代表から追放する話をほのめかした。チームの和を重視しての判断とはいえ、ワールドカップアジア2次予選で結果を残していたアタッカーの不在はプラスではない。この判断は妥当なのか。スポーツライターの二宮寿朗氏に見解を伺った。
(『サッカーダイジェスト』9月22日号74・75ページ「THE JUDGE」より抜粋)
 
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 交代時に石井監督との握手を拒否し、激高して詰め寄ろうとする。スタッフが間に入って制止しなければならないほどの激しさだった。

 金崎がなぜそこまで激高したのか理由は明らかになっていないものの、このピッチ外で起きたニュースは多くのメディアに大きく取り上げられた。いかなる理由があろうとも、彼の行為は良くない。

 ハリルホジッチ監督が「彼の態度は受け入れがたい」として代表招集を見送ったことについて、私は支持する。社会に対する日本代表の影響度を考えても、プロ選手として相応しくない態度だった。
 
 そして、一致団結してロシア・ワールドカップのアジア最終予選に向かおうとするなかで、同じようなことが「代表で起きない」とは言い切れない。そうなってしまえばチーム全体の士気に影響が及ぶ可能性が少なからずあるということだ。最終予選に臨むにあたり、負の要素となるべきものは一切排除しておきたいという指揮官の妥協なき姿勢は十分に理解できる。その意味で、ハリルホジッチ監督の判断を「是」とした。
 
 しかし、〝無期限〞というのはあくまで「期限を決めない」だけであって、「永久追放」の意味合いではないとも解釈している。すべては今後の姿勢次第ということではないだろうか。バチバチのファイトを厭わず、まさにデュエルを体現する金崎の熱さを評価してきたのも、ハリルホジッチ自身である。招集見送りは、「その噴き出る熱さを自分のなかでコントロールせよ」というメッセージだと思えてならない。
 
 金崎の行為は明らかに行き過ぎではある。しかし罪を犯したわけでも、チームの決め事を破るルール違反をしたわけでもない。言わば、不文律を破った形ではあるが、しっかりと反省して「悔い改めよ」ということではないだろうか。

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