【新潟】“ボランチ・野津田”は果たして継続すべきか?

2016年09月11日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「ボランチが本職ではないが、走ってボールを引き出して、堂々とプレーしていた」(吉田監督)。

野津田は2ボランチの一角として出場。「ほぼ初めて」という状況ながら、上手くボールを引き出しながら組み立て役をこなした。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2ステージ11節]新潟0-1名古屋/9月10日/デンカS
 
 新潟は名古屋戦を迎えるにあたり、トレーニングを異例の4日間連続非公開にして、戦術確認や改めて闘争心を植え付けることに費やした。そして、吉田達磨監督は守備時に5-4-1、攻撃時には3-4-3にシフトする可変システムで大一番に臨んだ。

 今季出場1試合の西村竜馬の抜擢、右SB松原健のストッパー起用とともに、"吉田カラー"が落とし込まれたのが、「ボランチ・野津田岳人」だった。周知のとおり、野津田はパンチ力のある左足を武器とする攻撃的MFだ。「2ボランチでの出場はほぼ初めて」だったが、それでもコンビを組むレオ・シルバと流動的に入れ替わりながら、ビルドアップから中盤の守備まで精力的にこなしていく。
 
「2ボランチだったので、レオ(シルバ)と近いポジションでバランスを取りながら、空いたスペースをカバーしようと。攻撃でも押し込んだ時に逆サイドを使ったり、真ん中から崩していこうと話していたので、サイドで起点を作ることも意識していました」
 
 吉田監督も「彼は(ボランチが)本職ではないですが、走ってボールを引き出して、堂々とプレーすることで経験の浅い選手たちが勇気づけられたと思う」とその働きぶりを評価する。実際、走行距離ではチーム4位の11.089kmをマーク。79分で交代した野津田に対し、上位3人はフル出場でほぼ同数値(コルテース:11.638km、レオ・シルバ:11.406km、小泉慶:11.143km)だったことを考えれば、いかに運動量が多かったかが分かる。
 
 しかしその一方で、ビルドアップに加わる代償として、プレーエリアが後ろ寄りになり、アタッキングサードでフィニッシュに絡む回数が大きく減ってしまった。この日の名古屋のように、引いて守りを固める相手を打ち崩すには、よりゴール前で勝負したかったところだ。野津田本人も、バランスを取る役割と、1点を取りに行かなければいけない状況の狭間で、葛藤する部分があったようだ。

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