楢﨑に笑顔が戻った! 酸いも甘いも嚙み分けた守護神が語る“闘莉王効果”

2016年09月11日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「闘莉王はドゥンガでも出せない存在感だと思う」(楢﨑)。

闘莉王の胸トラップをキャッチした瞬間、勝利を告げるホイッスルが鳴り響き、楢﨑(1番)は右の拳を誇らしげに突き上げた。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第2ステージ11節]新潟0-1名古屋/9月10日/デンカS
 
 アディショナルタイム表示の5分を経過した90+6分――相手が入れたロングボールのこぼれ球を田中マルクス闘莉王が胸トラップで落とし、GK楢﨑正剛が両手でがっちりキャッチした瞬間、19試合ぶりの勝利を告げるホイッスルが鳴り響く。楢﨑は左手でボールを掴みながら、誇らしげに右の拳を突き上げた。

「久々にナラさん(楢﨑)がニコニコしているところを見たので、何よりも価値がありますよ(笑)」
 
 帰路につくチームバスに乗り込む直前、闘莉王はそう冗談めかして新潟戦に勝利した意味を語った。たしかに、ミックスゾーン(取材エリア)で試合を振り返る楢﨑には、勝利から遠ざかり、厳しい表情が続いた時には見られなかった笑顔が何度も見られた。久々の勝利の余韻に浸っていたからであり、闘莉王が入ったことでチームを牽引する部分での重圧が軽減されたところもあったのかもしれない。
 
「(闘莉王が入って)ロッカールームの雰囲気と、ピッチ上のリーダーシップは大きく変わった。俺は闘莉王ほど(影響力のある)の選手はあまり見たことがない。監督も『お前が監督をやれ』と言いたがるくらいの選手ですからね。ドゥンガ(編集部・注/1996~98年に磐田でもプレーした元ブラジル代表)でも出せない存在感だと思います」
 
 リーダーシップに関しては、闘莉王の左隣でプレーした左SBの古林将太も楢﨑の意見に同調する。
 
「指示が的確すぎて焦ってしまうくらいでした(笑)。試合中には自分の意志で動いていく場面もあれば、CBからSBに言ってもらわないとなかなか(前に)出られない場面もある。(指示で)動かしてくれるので、すごくやりやすかったですね。今まで(一緒に)やってきたCBとは、経験や判断力などすべてで上回っているなと感じました」

次ページリーグ優勝の味を知るタッグは、チームを“奇跡のJ1残留”に導けるか。

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