【プレミアリーグ移籍市場総括】支出総額1580億円と盛況ぶりの裏で「金づる扱い」という現実が浮き彫りに…。

2016年09月02日 山中忍

大盛況の裏に見える「金づる扱い」の現実。

今夏のプレミアの移籍市場は125億円という巨額でマンチェスター・Uに加わったポグバや、最終日にパリSGから出戻ったD・ルイスなど、終始話題性が欠けることはなかった。 (C) Getty Images

 今夏の移籍市場でプレミアリーグの20クラブが支払った移籍金総額は11億6500万ポンド(約1580億円)という史上最高額に達し、さらに13クラブが単価ベースの過去最高記録を更新した。
 
 マンチェスター・Uが世界最高額の8900万ポンド(約125億円)でR・マドリーとのポール・ポグバ獲得競争に勝利すると、国内では「ビッグネームがプレミアのビッグクラブを選ぶようになった証拠」だと騒がれた。
 
 だが、現実は甘くはない。見た目は盛況だった今夏の移籍市場でも、目を凝らせば「金づる」というプレミアリーグの実態が見えてくる。
 
 昨シーズンのチャンピオンズ・リーグでもプレミアのクラブの成績が冴えなかったことから、金銭で釣る必要性は高まる一方で、足下を見られて商談は長引き、矛先転換を強いられた。
 
 結果として起こる市場終盤のスリルは、メディアにすれば大歓迎だが、肝心のクラブが諸手を上げて商談成立を歓迎できるわけではない。
 
 例えば、最終日最大の衝撃となったチェルシーのダビド・ルイス買い戻し。新監督のアントニオ・コンテに3バック採用というオプションを与える補強ではあるが、元々は新CBの優先ターゲットでなかったばかりか、候補リストに挙げられてさえいなかったはずだ。
 
 パリSGからは、今夏も探りを入れたマルキーニョスを買いたかったというのがチェルシーの本心だろう。
 
 その2日前にスペイン人FWのルーカス・ペレスをデポルティボから獲得したアーセナルも、せいぜい3、4番手でしかなかった新CF候補に手を出した格好だ。
 
 決して本命とは言い切れないストライカーに支払った1700万ポンド(約24億円)の移籍金はプレミア水準では高額ではないが、アーセナルはデポルティボから契約解除額での買い取りを余儀なくされたのだ。
 

次ページ先手必勝となったプレミアの移籍市場。

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