アタッキングフットボールの捉え方。マインドを伝え、成熟させていく。種を撒く喜田拓也「僕らの目が揃えば必ず良いものになる」

2026年01月21日 元川悦子

「タイトルを取れないことに慣れたくない」

横浜FMをピッチ内外で力強く牽引する喜田。誰もが認めるバンディエラだ。写真:元川悦子

 2025年はスティーブ・ホーランド、パトリック・キスノーボ、大島秀夫と指揮官が目まぐるしく入れ替わり、J2降格危機に瀕した横浜F・マリノス。11月9日の京都サンガF.C.戦で残留を決めたものの、12月6日の最終節・鹿島アントラーズ戦では1-2で完敗。同じオリジナル10の相手がシャーレを掲げる姿を見せつけられた。

 名門クラブとしては屈辱以外の何物でもなかったはず。19日から宮崎でキャンプ入りしている喜田拓也は、1か月半前の出来事をこう述懐する。

「最終節に鹿島が優勝するところを目の前で見られて、ある意味、良かったのかなと僕は感じたし、チームにも共有しました。やっぱり優勝は最高のものだし、彼らは本当にすべてを賭けて勝ち取った。今のマリノスはタイトルの味を知らない選手も多くなってきたので、感じるところはたくさんあったと思う。『あそこに辿り着きたい』とみんなが感じたことに大きな意味がありましたね」と、31歳の絶対的リーダーは前向きに言う。

 悔しさを糧に迎えた2026年。大島監督が続投した横浜FMは、J1百年構想リーグで積み上げを図っていくことになる。彼らは昨季15位でチャレンジャーに他ならないが、この特別大会の相手は関東勢ばかり。移動の負担も少なく、よく知っている相手との試合が続く。ゆえに、躍進のチャンスがないとも言い切れないのだ。

「僕はやっぱり勝ちにこだわりたい。昇降格がなかったりという話題もありますけど、そこに甘えたり、勝利の責任を負わなかったら、成長はない。勝利を強く求めたいですし、タイトルを取れないことに慣れたくない。常にその位置を争えるところにいるのがマリノスであり、クラブの価値だと思う。良いスタートを切りたいですね」と、2019・22年のJ1制覇を経験している男は改めて語気を強めた。
 
 そのためにも、攻守両面でフットボールの内容面を改善していくことが肝要だ。

 昨季の横浜FMは総得点46・総失点47とどちらも中位の数字。2024年と比較すると得点・失点ともに「15」減少したが、バランスが良くなったわけではない。昨季は途中から"残留"へと舵を切り、堅守速攻を突き詰めていったことで一定の成果を得たが、26年は守備を安定させたうえで、もっと主導権を握れる時間を増やしていく必要があるだろう。

 昨季に加入したディーン・デイビッド、ユーリ・アラウージョ、34歳のベテラン天野純らが調子を上げている模様で、遠野大弥も怪我から復帰しつつあるだけに、昨季よりはアグレッシブな攻めが期待できそうだ。

「このチームは『アタッキングフットボール』を掲げてきましたけど、正直言って、その捉え方は人によって全然違う気がしているんです。メディアのみなさん、サポーターの方々、僕ら選手の中でもいろんな見方があると思う。全員の目を揃えようとしても、たぶん無理だと思うんですけど、やってる僕らの目が揃えば必ず良いものになる。そこを深めていく作業を今、キャンプで始めています。

 自分たちが楽しくて、見てるみなさんが『こういうことがやりたいんだな』と躍動感を感じ取ってくれれば、もうそれがアタッキングフットボールだと思うんで、成熟させていきたいですね」と、喜田は今の横浜FMに合ったアタッキングフットボールを作り上げていく構えだ。
 

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