【広島】渾身の一撃でチームを目覚めさせた青山。キャプテンが滲ませた不退転の決意とは?

2016年08月28日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「(甲府戦に)負けた後の大事な試合だったので、今日の勝利は改めて自信になる」

30分、青山は鮮やかなボレーシュートでチームに先制点をもたらす。ゴール後に何度もガッツポーズを見せる姿が印象的だった。 (C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1第2ステージ10節]仙台0-2広島/8月27日/ユアスタ
 
「勝つしかない」――。
 
 青山敏弘は不退転の決意で仙台戦に臨んでいた。前節の甲府戦に0-1で敗れ、年間勝点で3位・鹿島との差が9ポイントに拡大。残り試合(8)を考えると、チャンピオンシップ進出に黄信号が灯る崖っぷちに追い込まれた。諦めたわけではないとはいえ、キャプテンの目から見ても、「チームとして本当にひとつになって戦えるのか」と考えてしまうほど、雰囲気は決して良いとは言えない状況だったという。
 
「もちろん『自分たちがやらなきゃいけない』とみんなが思っている。でも、今のポジション(順位)と前節の負けは痛かったので、崩れてもおかしくないのかなと思っていた」
 
 そんな重要な一戦で、「バラバラになってはいけない」(青山)との想いが、勝利への執念を強め、先制弾を呼び込んだのだろう。30分、インターセプトから素早く前線の柴﨑晃誠にボールを供給すると、すかさずゴール前までランニング。柴崎の折り返しに、右足でダイレクトに合わせ、相手GKが一歩も動けない鮮やかなシュートを突き刺した。普段はクールな男がゴール後に何度もガッツポーズを繰り返す光景に、この一戦に賭ける覚悟が見て取れた。
 
「今週みんなで珍しくシュート練習したんで、その賜物かなと(笑)。(佐藤)寿人さんが(DFを)引っ張ってくれるイメージは、(柴﨑)晃誠さんを含めてできていたし、シュートまで行く形ができたので良かった」
 
 その後仙台の猛攻を受けても、最終ライン(千葉和彦、水本裕貴、塩谷司)の身体を張ったディフェンスを中心にピンチをしのぎ、逆に相手のミスに付け込んでダメ押しゴールを奪取。得点源のピーター・ウタカが急遽欠場するアクシデントがあったなかで、「タフに粘り強く戦い、勝利を掴み獲る」(森保監督)本来のスタイルを出せたことが何よりの収穫と言えるだろう。青山も「今日は(チームが)ひとつになっていた」と胸を張る。
 
「今年は全員で粘って戦うサッカーがなかなかできていなかったし、メンバーが(故障で)入れ替わるなかで結果を出せないのは苦しかった。だから、前節からメンバーが4人代わっても、自分たちの力を発揮できたのはチームとして誇らしい。(甲府戦に)負けた後の大事な試合だったので、改めて自信になりますね」

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