「自分のサッカーに絶望した」佐野海舟が初のW杯を前に辿り着いた“覚悟の中身”【独占告白】

2026年01月03日 増島みどり(スポーツライター)

定期的にやってくる「絶望」

佐野の独占告白。”絶望”を感じる理由とは? 写真提供:UDN

 2025年10月14日に行なわれたブラジル戦の前半、佐野海舟は「思うようにボールを奪えず、スピードにも付いていけない。もう下を向いてしまいました。自分のサッカーに、絶望した」と振り返る。ピッチで感じたのは、周囲が言う手応えではなく突きつけられた現実だった。しかしその「絶望」を受け入れ、むしろ、何が足りないのかを教えてくれた試合だったと前を向く。

 4年前はワールドカップをテレビで眺めるしかなかったフットボーラーが、初の大舞台を前に何を思い、何を背負って戦おうとしているのか。

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──1年4か月ぶりの代表復帰で森保監督から何か掛けられた言葉は?

「はい、日本代表に選んだのは自分(監督)の責任だからサッカーに集中してほしいと声をかけてもらいました。代表に入れない時期、マインツの日々の生活に早く慣れてここで成長するしかないと思っていました。代表選手として日本のためにとまで考える余裕はなかった。森保監督の、自分の責任だという言葉を聞いて自分には代表に行く覚悟がいると思いました」

──覚悟ですか?

「これからのサッカー人生は自分のためではない、と決めました。自分のためじゃなくて、代表じゃない時もクラブでのプレーをいつも観ていてくれる皆さんやサポートしてくれた方々、もちろん代表を応援するサポーター、家族のためでもある。自分の充実感のためにサッカーやるんじゃない、と覚悟しています。だから代表では自分が出ても出られなくてもどうやったら日本代表の働きになれるかを考える。自分がプレーできたから良かった、出たら満足ではなくて自分の存在が力になるように努力したい。そしてそれを見てもらえる選手を目指しています」
 
──代表では佐野選手を含めてボランチでの競争が激しいですね。W杯に向かって注目されます。

「そうですね。でもポジション争いはサッカーでは当たり前ですし自分と誰かを比べても何もならない。自分のサッカーに集中するだけです。日本代表はレベルの高い選手の集まりですからほかの選手もきっと自分に集中するだけと考えていると思います」

──監督はボランチの組み合わせやグループでの相性を試すと話しています。ブラジル戦では鎌田(大地)選手と先発で組みグループの中での存在感を示したのでは?

「いや全くですね。前半が悪すぎて、自分の思ったところでボールが全然取れなかったしスピードに付いて行けていない。ボールをあんまりにも取れなさ過ぎちゃって、試合中絶望していました」

──ピッチで絶望してしまう?

「もう下を向いてしまいましたね。自分のサッカーに絶望してしまうんです」
 

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