怪物ではない──日本代表が警戒すべきオランダの得点源デパイに「効く」守り方

2025年12月31日 沢田啓明

欧州予選では8得点・4アシスト

オランダ代表の最多得点記録を持つデパイ。(C)Getty Images

 2026年W杯のグループステージ初戦で日本が対戦するオランダには、数字だけを見れば思わず身構えてしまうストライカーがいる。欧州予選で8試合に出場し、8得点・4アシスト。もちろん欧州予選グループGの得点王だ。その名は、メンフィス・デパイ。24年9月から、ブラジルの名門コリンチャンスでプレーしている。
 
 ガーナ人の父とオランダ人の母を持つ31歳のCF。身長178cmと決して大柄ではないが、身体には厚みがあり、頑強。右利きながら左足も使え、パワーとテクニックを兼ね備える。勝負強さも持ち味だ。
 
 コリンチャンスでは主に2トップの一角として起用され、25年シーズンはブラジル全国リーグの全38試合中23試合に出場して6得点・3アシスト。コパ・ド・ブラジルでは8試合に出場して3得点を挙げ、優勝に貢献した。
 
 ブラジル全国リーグで欠場が多かったのは、膝、太もも、足首などの故障により4度も戦列を離れたためだ。傑出したスピードがあるわけではなく、ボールを持ち過ぎる癖もあり、DFに囲まれて奪われることも少なくなかった。
 
 数字が示すとおり、ブラジルにおいては「ビッグクラブの不動のレギュラーか」と問われれば、評価は微妙なところだ。しかしオランダ代表では、まるで別人のような活躍を演じてみせた。
 
 理由は明確だ。オランダ伝統の4-3-3システムのなかで、左ウイングのコディ・ガクポ(リバプール)、右ウイングのドニエル・マレン(アストン・ビラ)、トップ下のティジャニ・ラインデルス(マンチェスター・シティ)やシャビ・シモンズ(トッテナム)らから質の高いパス供給を受け、それを確実に決め切ったからだ。独力で局面を打開するタイプではない。気分屋な一面があり、荒っぽいプレーに走ることもある。
 
 ノルウェー代表のアーリング・ハーランド(マンチェスター・C)のように、DFが束になっても太刀打ちできない「怪物」ではない。
 
 日本としては、試合序盤から激しくマークして苛立たせる一方、両ウイングや中盤から決定的なパスを出させないことが重要になる。その積み重ねがデパイの良さを消し、ひいてはオランダの攻撃全体を抑えることにつながるはずだ。
 
文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。 

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