「彼がいい選手というのはわかっている」ブンデス初ゴールの日本人MFが語った“日本代表対決”「うまくやらせないように…」【現地発】

2025年11月20日 中野吉之伴

「いつもは味方でしたけど今日は相手」

対戦した藤田について語った鈴木。(C)Getty Images

 ザンクトパウリでプレーする日本代表MF藤田譲瑠チマは、ここまでのブンデスリーガの全10試合にスタメン起用され、うち8試合でフル出場を果たしている。

 7連敗中と苦しいチーム事情の中で、中盤で攻守に奮闘している。専門誌キッカーの平均採点ではGKニコラ・ヴァシリに次ぐ、3.3という高得点。これは今季ブンデスリーガでプレーする日本人選手の中でも、ブレーメンのGK長田澪(登録名ミオ・バックハウス)に次ぐ2番目の数字だ。

 10節のフライブルク戦では、アレクサンダー・ブレッシン監督が「ディフェンシブなスタイルを選んだ。悪くはなかったが、順当負けだった。ボール奪取後すぐにボールを失うことが多かった」と振り返るように、全選手が自陣に引いて守備的なブロックを築いたが、連続で失点を喫してしまう。藤田もボールタッチ数が少なく、攻撃を構築しようにもできないジレンマを感じさせた。

 ただ、相手のミスに乗じて69分に、ルイス・オッピーが1点を返すと、勇気がチームに戻ってくる。精力的にボールを動かし、ゴール前に迫るシーンが増えてきた。その中心にいたのが藤田だ。行動範囲広く動いてボールを引き出すと、味方選手をうまく使いながらリズムカルなパス交換で何度も起点を作り出す。右サイド深いところへドリブルで侵入するシーンもあった。
 
 最終的に同点に追いつくことはできなかった。負け続けていることで攻守のバランスをとるのが難しいのはよくわかる。それでも藤田を中心にもう少し勇敢に攻撃に出られるようになったら、また勝点を取れるようになってくるのではないかと思わせるだけのパフォーマンスを見せていた。

 この一戦で、ブンデス初ゴールとなる先制点を決めたフライブルクの日本代表MF鈴木唯人は、藤田のプレーを次のように語ってくれた。

「彼がいい選手というのはわかってますし、リスペクトもあります。いつもは味方でしたけど今日は相手でした。ボールを落ち着かせたり、パスをさばくのがうまい選手。僕のところで、うまくやらせないようにということを考えてました」

藤田を抑えることでフライブルクがリズムを作ることを実践した。そして直接対決を前に思っていたことを明かしてくれた。

「どっちがこの舞台で結果を残せるかという自分の中で目標を決めてたんで。結果としてこう現れたんで、良かったかなと思います」

 欧州でともに戦う仲間として、刺激を与え続けている。その関係性が素晴らしい。

 ザンクトパウリもこのままでいるわけにはいかない。リーグはまだ長い。フライブルクとは今度ホームで対戦する。その時には藤田が鈴木を封じこむのかもしれない。次の対決が、今から楽しみだ。

取材・文●中野吉之伴

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