2025年11月９日に国立競技場で開催されたFC町田ゼルビア対FC東京戦は、同16日に同会場で行なわれる"天皇杯準決勝の前哨戦"だった。覇権レースも残留争いも無関係の両チームにとってより重要な試合は来週の天皇杯準決勝であって、その点で今節のリーグ戦は戦いにくいのではないかと、そんなことを思いながら記者席から試合を眺めていた。

　結果はFC東京が１−０と勝利。町田に押し込まれる時間帯がありながらも組織立った守備で対抗し、終盤の87分に途中出場の安斎颯馬が決めた決勝弾で勝点３を得た。

　試合後、殊勲者のひとりであるCBの森重真人に単刀直入に聞いてみた。「今日、戦いにくさはありませんでしたか」と。すると、森重は落ち着いた表情で次のように答えてくれた。
 

「やりにくさはなかったです。自分たちは町田に対して勝ててなかったので、リスペクトしながら相手の良さを消しつつという感じで。我慢比べの展開でしたけど、今日はこっちに勝点が転がってきました」

　FC東京はＪ１昇格後の町田と４度目の対戦で初勝利。苦手意識を払拭できた点で、大きな白星と言えた。森重は言う。

「それもそうですが、こういう展開でも我慢強く戦って勝点３を取れたのがひとつの成功体験として大きい。こういう戦い方ができる点を示せたのはポジティブです」

　今日のような"堅守"が天皇杯準決勝でも間違いなく鍵になる。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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