「努力することに集中しなければ…」バルサ指揮官を悩ませる18歳ヤマルの言動。“不穏な空気”を番記者がレポート「監督の一存で何も決められないことに不満を抱いている」【現地発】

2025年11月09日 エル・パイス紙

「会長とヤマルが解決が難しい2つの障害となっている」

フリック監督(左)はヤマル(右)の特別扱いを快く思っていないようだ。(C)Getty Images

 バルセロナのジョアン・ラポルタ会長が、レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長との同盟関係を断ち切り、欧州スーパーリーグ構想から距離を置き、チャンピオンズリーグ(CL)とUEFA会長のアレクサンデル・チェフェリンに接近した後、サンティアゴ・ベルナベウの貴賓席に戻ってきたその日、ハンジ・フリックは特設ブースからラミネ・ヤマルがカルバハルによって敵ファンの憎悪の的に晒され、自チームがピッチで迷走する様子を眺めていた。

 クラシコでドイツ人指揮官に起こった逆説的なことは?それは就任2年目のシーズンにおいて、自身が思い描いているバルセロナが鏡に映る戦術的なアプローチを見つけられない中、ラポルタがオフィスで、ヤマルがロッカールームで解決が難しい2つの障害となっていることだ。

 常に天邪鬼なその鏡は、フリックにとって脅威となっている。国内3冠を達成し、CLの準決勝に進出した昨シーズンは勝つことしかできないように見えたチームが、今シーズンは負けることしかできないように見える。そしてその間、必ずしも助けとなっていない政治的に複雑なクラブと、ヤマルに常に注目が集まる、なかなかエンジンがかからないチームの狭間に立たされている。

 サン・ジョアン・デスピにある練習場、シウタ・エスポルティーバの関係者にここ最近のフリックの調子について尋ねると、その答えは断定的だった。

「彼は完璧な状態で、クラブと街に満足している」
 
 フリック自身も、アラウホが2-1の決勝ゴールを奪った直後に見せたジローナ戦でのNGジェスチャーについて、「このクラブが大好きだから、感情が高ぶるんだ」と愛情の表れとして正当化した。

 彼をよく知る人々は、感情に訴えることで高まる緊張を隠す巧妙な答えだったと考えているが、理論的にはその"逃げ"は成功した。しかし、記者会見場の外では状況は異なり、3つの問題がフリックを窮地に追い込んでいる。

 1つ目は首都マドリード発のものだ。「彼はドイツ代表監督を務めた経験があり、18歳の選手を重要度の低い試合に出場させるために痛み止めを投与してプレーさせたことを理解できない。もしドイツでバイエルンに同じことをしていたら、大騒ぎになるだろう」と、前出の関係者は9月のトルコ戦にヤマルを強行出場させたスペイン代表のルイス・デ・ラ・フエンテ監督の決断が不信感の源になっていると説明する。

 連盟との対立に加え、審判に対する不満もある。「彼はチャンピオンズリーグの審判のほうが優れていると考えている。重要な判定があった場合、第4審判が状況を説明する役割を果たしている。ラ・リーガよりも明確なコミュニケーションがある」とコーチの1人は指摘する。
 

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