目立った活躍のなかった香川……ポジション争いでリードを奪えず

2016年08月15日 山口裕平

今後しばらくは出場できるだろうが、そこで結果を出せるか!?

前半は良さも見られたが、時間の経過とともに存在感が薄くなっていった。今後、いかに決定的なプレーに絡み、目に見える結果を出すか、が香川の課題である。 (C) Getty Images

 新シーズンの訪れを告げるドイツ・スーパーカップは、バイエルンが2-0でドルトムントを下し、今シーズンの初タイトルを獲得した。
 
 この試合の先発に名を連ねた香川は、4-2-3-1のトップ下としてフル出場を果たした。
 
 立ち上がりにはDFバルトラのロングパスに抜け出してシュートを放ったが、それ以降はなかなかボールに触る機会が訪れず、目立った活躍を見せることはできなかった。
 
 自陣エリア付近で守備ブロックを形成したバイエルンに対し、香川はそのギャップでボールを呼び込み、狭いスペースで前を向いての打開を狙っていた。
 
 時折、激しいジェスチャーを見せて何とかボールを呼び込もうとしていた香川だが、ボールロストのリスクを嫌ったチームメイトからなかなかボールは供給されず、中盤以降はやや下がり目の位置で、後ろ向きでボールを受けてから、パスを散らすプレーに終始した。
 
 ボールが前線に入れば、ゴール前の危険なエリアに何度も走り込んだが、香川の元にボールが届くことはなく、決定的な場面を作り出すことはできなかった。
 
 今シーズン、ドルトムントが攻撃陣の大型補強を行なったことで、香川には厳しいレギュラー争いが待ち受けている。
 
 昨シーズン同様、4-2-3-1のトップ下、あるいは4-1-4-1のインサイドハーフのポジションを争うことになるが、その最大のライバルと目されているのが、古巣へ復帰したドイツ代表MFのゲッツェだ。
 
 かつては中盤のアウトサイドでも起用されていたゲッツェだが、ドルトムントは同ポジションにシュールレ、デンベレ、モルらを補強したことで、香川と同じ「10番」あるいは「8番」のポジションでの起用が予想されている。
 
 この試合で香川は先発フル出場を果たし、ゲッツェには出場機会が訪れなかったが、香川がポジション獲得に向けて一歩前進したという意味を持つわけではない。
 
 ドイツ代表としてEURO2016に参加したゲッツェがチームに合流したのは8月上旬のことで、コンディションが十分でないことから、トゥヘル監督は試合前にゲッツェの起用を見送ることを示唆していた。
 
 この試合で開幕へ向けて良いアピールができたとは言えないが、香川には十分にチャンスがある。
 
 トゥヘル監督は、チームの調整には「数週間かかる」とコメントしているものの、次週にはDFBカップ1回戦、翌週にはブンデスリーガ開幕戦が控えている。
 
 ゲッツェら新戦力がフィットするにはもう少し時間が必要であり、既にチームに馴染んでいる香川に出場機会が与えられる可能性は高い。
 
 まずはそこで結果を残し、ポジション確保に向けてアピールしていきたいところだ。
 
文:山口 裕平
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