【SBSカップ】99年組のホープ中村駿太。U-19代表メンバー生き残りへ「最後まで悩ませる存在になる」

2016年08月13日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

“少数派”の99年組から最終予選のメンバー入りを狙う。

99年組のひとりとして、SBSカップのメンバーに選ばれた中村(13番)。今大会で自身がこだわる「ゴール」を奪い、アピールに成功するか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 SBSカップの招集メンバー(18名)に目を向けると、その大半が98年組(15名)で占められているが、97年組(1名)に次いで少ないのが99年組(2名)。そのうちのひとりが、柏U-18の2年生エース・中村駿太だ。
 
 瞬発力とパワーを武器にゴールを量産する姿は、丸坊主の風貌と相まって元ブラジル代表のロナウドと似通う。いつしか『和製ロナウド』とも呼ばれるようになった中村は、「世代はひとつ下ですけど、何回か(U-19代表に)呼んでもらえているので、最後まで悩ませられるような存在になりたい」と、U-20ワールドカップ最終予選のメンバー入りを虎視眈々と狙っている。
 
 その中村は、12日の静岡ユース戦で今大会初先発。序盤から積極的にゴールへ迫った一方、「周りの選手と上手くコミュニケーションが取れなくて上手くいかなかった」と反省するように、14分にゴール右からシュートを放った以外、特筆すべきプレーを見せられないまま前半を終えた。
 
 後半に入ると一転して躍動感を見せ始める。その要因は、エースの岩崎悠人(京都橘高)が投入されたことに他ならない。
 
「悠人くんが後半から入ってきて、裏に抜ける動きをしてくれた、それで何回か自分が下りてきてボールを入れてもらって、そこから展開することはできていた。ひとりが裏を狙って、ひとりが中盤に落ちるみたいな感じで、シンプルですけどそういうことができるようになって、個人的にもボールを触る回数が増えましたし、前半より後半のほうがやり易かったです」
 
 岩崎が相手DFを吊ることで、中村にボールが収まる頻度は明らかに増えた。そこからサイドへ展開したり、あるいは、ドリブルで打開を図るなど、どこか窮屈そうにプレーしていた前半の姿は微塵も感じられなかった。
 
 しかし――。肝心のゴールは奪えず、チームもPK戦で敗戦。後半のプレーに手応えは得られたものの、FWとしての仕事を果たせなかった事実には、悔しさを隠せない。
 
「FWなのでやっぱりゴールが一番大事。好きな形でボールを受ける場面もあったんですけど、やっぱりシュートが2本じゃ物足りない。もっとシュートチャンスを作り出したり、もしかしたら、もう1本撃っていたら入っていたかもしれないので、もっと決定的な場面に顔を出したり、決定力も高めたい」
 
 最終予選に向けたメンバーの大枠は、これまでの実績を踏まえてほぼ決定していると見られる。ただし、「戦力の発掘」がひとつのテーマとなる今大会で特筆に値するパフォーマンスを見せられれば、残り数枠への滑り込みは可能だろう。"少数派"の99年組からの選出という事実を見ても中村への期待の高さが窺えるだけに、U-19スロバキアと戦う最終戦でアピールできるかは見物だ。
 
 
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
 
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