「アドリアーノよりはるかに上」ブラジルの新たな至宝に欧州ビッグクラブがこぞって熱視線。「とてつもないスケールだ」【現地発】

2025年10月29日 沢田啓明

バルサのデコSDが強い関心を示す

ブラジルで話題沸騰中のライアン。(C)Getty Images

「サイズがあり、強さ、高さ、速さ、テクニック、優れた戦術眼を19歳にして持ち合わせている。なおかつ、いままさに驚異的なスピードで進化中だ。来年のワールドカップのメンバーに入ってもおかしくない」(元ブラジル代表監督で現在はヴァスコダガマを率いるフェルナンド・ジニス)
 
「(インテルで活躍して皇帝と呼ばれた)アドリアーノと似たタイプだが、テクニックははるかに上。とてつもないスケールの選手だ」(元ブラジル代表MFで現在は評論家のネト)
 
 ブラジルで現在、話題沸騰中の怪物がいる。リオデジャネイロの名門ヴァスコでプレーする19歳のライアン。右サイドを主戦場に躍動する左利きのウインガーは、CFや左ウイングでも十分以上に機能する万能性も魅力だ。
 
 身長185センチ。屈強だが柔らかいテクニックを持ち、パワーとスピードを生かしたドリブルでサイドを切り裂き、カットインして強烈なシュートを叩き込む。
 
 リオ出身のライアンは、9歳でヴァスコのアカデミーに入り、以降、常に年齢より上のカテゴリーで主力としてプレーしてきた。
 
 2022年、U-17の州選手権で得点王となり、同年5月にはスペイン紙が「バルセロナのスポーツディレクターであるデコが強い関心を示し、バルセロナBでの獲得を画策」と報じ、注目度はさらに高まった。
 23年3~4月にかけて行なわれたU-17南米選手権ではブラジル代表の一員として5ゴールを決めて優勝に貢献し、みずからはクラウディオ・エチェベリ(アルゼンチン)、カウアン・エリアス(ブラジル)とともに得点王に輝いた。
 
 同年6月に16歳10か月でヴァスコのトップチームにデビューすると、ブラジル代表として臨んだ11~12月開催のU-17W杯で3得点。その後はブラジルU-20代表にも招集され、25年1月のU-20南米選手権では2得点を記録した。
 
 25年シーズンのブラジル全国リーグでは4月下旬からレギュラーとなり、ここまで27試合に出場して11得点。とりわけ、10月に入ってからは4試合で4得点と際立った活躍を演じている。
 
 すでにイングランド、スペイン、イタリアなどのビッグクラブが水面下で獲得を狙っている。ただ、ヴァスコは、契約解除金を現在の4000万ユーロ(約71億円)から大幅に増額するべく、現行契約(26年12月)の延長を目指して本人サイドと交渉中だ。近く契約を延長できそうだが、その契約が満了するまでヴァスコに留まると考える者はどこにもいない。
 
 文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。 

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