「W杯に行ったら人生が変わる」神村学園の偉大な先輩からの言葉が刺激に。DF竹野楓太はU-17W杯で自らの価値を高められるか【U-17日本代表】

2025年10月25日 松尾祐希

凄まじい成長スピードでついに大舞台へ

U-17日本代表の竹野。幾多の困難を乗り越え、ついにU-17W杯に挑む。写真:松尾祐希

 どれだけ努力をしても報われるとは限らない。だが、やらなければ、現状は同じ。変わらなければ、大きな成長は掴み取れない。1年前はくすぶっていた才能、DF竹野楓太(神村学園/2年)は瞬く間に花開き、世界の舞台で戦う権利を手に入れた。

 カタールで11月3日に幕を開けるU-17ワールドカップ。廣山望監督が率いる若き日本代表は、10月24日の夜に事前合宿の地であるUAEに向かった。今大会から48か国の参加となり、新たなフォーマットで世界一を目ざすU-17日本代表には、注目すべきタレントがいる。右ウイングバックを主戦場とする竹野だ。

 182センチの恵まれたサイズと確かな足もとの技術に加え、推進力を持ち合わせるタイプ。好不調の波が激しい点は玉に瑕だが、勢いに乗った時は手が付けられない。スケールの大きなプレーは今後の飛躍に期待感を抱かせる。

 とりわけ、この1年間の成長スピードは目覚ましく、右肩上がりでレベルアップを遂げてきた。24日に行なわれた流通経済大(3−1/45分ハーフ)とのトレーニングマッチでも前半アディショナルタイムにMF小林志紋(広島ユース/3年)のゴールをクロスからお膳立て。良い状態で国内ラストマッチを終えたが、ここに辿り着くまでには幾多の困難があった。

 1年前の秋は、1年生ながら神村学園のAチームに籍を置いていた一方で、出場機会はなかなか得られない。サッカーを辞めることを考えるほど、心が折れそうになった時期は何度もあった。それでも、挫けずに努力を重ね、2年生となった今年は右ウイングバックのポジションを掴んだだけではなく、確かな存在感を示してチームに欠かせない選手になった。

 それが代表スタッフの目にも留まり、今年6月に自身初となる世代別代表に招集。廣山監督が指揮を執るU-17日本代表のメンバーに名を連ねた。
 
 夏のインターハイでも結果を残し、大津との決勝(2−2/6PK7)も大活躍。0−1で迎えた後半35+6分に右からクロスを入れ、同点ゴールをアシストした。創部初の日本一に貢献した勢いそのままにアピールを続けたが、9月は少し調子を落としていた。その理由を本人はこう説明する。

「調子が悪かった。9月頭のフランス遠征や9月下旬に大阪であった候補合宿から帰ってきた時に、神村学園と代表のスタイルが違うことでハマらないところがあった。自分の武器を出せない時期もあって、(神村学園)キャプテンの(中野)陽斗さんにもそれを言われて…。

 練習の中でも有村(圭一郎)監督にも言われて、頭を整理することでうまくできるようになりました。特に大阪の合宿では全然足りていないと思って、もっとやらないといけないという想いが強くなったんです。自分の中で何を優先すべきかが難しくなっていた」

 頭を整理し、本来の姿を取り戻した竹野は見事に復活。W杯行きも勝ち取った。

 シンデレラストーリーを歩む竹野にとって、忘れられない言葉がある。それが昨季のチームを牽引し、2023年のU-17W杯に出場したMF名和田我空(G大阪)からの檄だ。

 一緒にプレーする機会は多くなかったが、偉大な先輩から杯に出場する重要性を説かれていた。名和田からいろんな話を聞いたなかで、最も心に刺さったのが「ワールドカップに行ったら人生が変わるぞ」という言葉だ。

 本当の意味はまだ自分では理解できていない。経験した者にしか分からないし、得られない感覚でもある。「ガクさんに良い報告ができた」と笑顔を見せたが、竹野の挑戦はここからが本番。W杯と時期が被る選手権予選は仲間に託し、竹野は先輩の言葉の真意を知るべく、カタールの地で新たな戦いに足を踏み入れる。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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