アメリカ人の父を持ち、186センチのサイズを活かしたパワーは規格外! U-17W杯に挑む廣山Jのラストピース、沖縄育ちの“マギージェラニー蓮”とは何者か

2025年10月23日 松尾祐希

“びっくりしすぎた”サプライズ招集

規格外の身体能力を持つFWマギーが初の大舞台に挑む。写真:松尾祐希

 186センチの高さを誇り、パワーは規格外。アメリカにルーツを持ち、運動能力も目を見張り、速くて強い――。沖縄の地から世界に羽ばたくべく、FWマギージェラニー蓮(琉球U-18)が11月3日にカタールで幕を開けるU-17ワールドカップに挑む。

 日本サッカー協会は10月17日、U-17W杯を戦うU-17日本代表のメンバー21名を発表。そこに名を連ねたマギーは、自身の選出に驚きを隠せなかったという。

「びっくりしすぎた」と振り返り、「訳がわからなくなった。本当に感謝しかありません」というほどのサプライズ招集だった。

 それもそのはずだ。マギーが代表に参加したのは、メンバーが決まる直前の9月下旬から10月上旬に開催された候補合宿のみ。世代別代表の経験はその1度だけであり、今回のW杯行きを掴めるとは本人も思っていなかった。

 チームでも結果を残せていたわけではなく、所属する琉球U-18でも今季はプリンスリーグ九州2部で2ゴールに留まっていた。

 では、なぜメンバーに滑り込めたのか。答えは9月9日から同11日にかけて行なわれたU-17九州トレセンの活動だった。もともと、大枠のリストに名はあったなかで大畑開コーチが視察に訪れた練習試合で2ゴールを挙げる活躍を見せた結果、前述の候補合宿で初招集を勝ち取った。

 このチャンスを活かせるか否か――。飛行機の到着が遅れるハプニングがあり、初日の活動に間に合わないアクシデントに「やばい…」と焦っていたものの、アピールに成功。2試合あったトレーニングマッチで連続ゴールを挙げ、指揮官の評価を勝ち取った。
 
 わずか2か月前までは代表にも縁がなかった男のシンデレラストーリー。だが、その実力は確かなものがある。バレーボールの経験があるアメリカ人の父は193センチで、譲り受けた186センチの高さと跳躍力は抜群。スピードもあり、世代トップクラスの速さを持つ。ポストワークも安定しており、課題だった決定力も高まりつつある。

 4月に足首を怪我した影響で満足いく結果を残せていなかったが、離脱中にメンタル面が鍛えられたことも飛躍のきっかけとなった。

「(怪我をしたタイミングで)メンタル面も全部頑張ろうと思った。怪我をしないための身体作りもしっかりやって、そこから調子が上がってきた」(マギー)

 米軍基地に住んでいた幼少期からスポーツに触れ、小学校3年生まではバスケットとサッカーの二刀流だったマギー。4歳から6歳まではカリフォルニアで過ごしていたため、英語が堪能でもある。

 世界基準のポテンシャルを持つストライカーは初の大舞台でどんな働きを見せるのか。W杯の最終予選を兼ねた今年4月のU-17アジアカップも出場しておらず、国際試合の経験もない。確かに不安はあり、プレースピードにも慣れる必要がある。だが、秘めた才能には期待感しかない。

「自分のプレーを出し切って、日本を喜ばせられるようにゴールを奪う。そのためにしっかり頑張ります」とはマギーの言葉。ベールに包まれた大型ストライカーは廣山望監督が切望する"9番"になるべく、最高の準備をしてカタールの地に赴く。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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