“下馬評通り”デンベレは選出されたバロンドール。個人的には11位だった…【コラム】

2025年10月15日 小宮良之

順位に対して異論はない

25年のバロンドールを受賞したデンベレ。(C)Getty Images

 今年9月、2025年のバロンドールが発表された。言わば、"世界一のサッカー選手を選ぶ"賞で、最も歴史的な権威もある。

 今回、パリ・サンジェルマンのフランス代表アタッカー、ウスマン・デンベレが選ばれたわけだが、「下馬評通り」と言えるだろう。やはり、パリSGを欧州王者に導いた実績は大きく、その技術やスピードはスペクタクルで、戦術的にも攻守に軸となっていた。

 もっとも、"世界一のサッカー選手を選ぶ"のは難しい。
 
 サッカーの本質は、より多くゴールした方が勝ち、である。そのため、華々しいゴールでチームを、最高峰チャンピオンズリーグで一番高いところに導いた選手が賞を受けるのも当然だろう。過去にも、リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドなど、チームをタイトルに導いたアタッカーたちが大概は受賞者になってきた。

 その点、2024年はマンチェスター・シティのスペイン代表MFロドリが勝ち取ったのは例外的かもしれない。ゴール数ではなく、いかにサッカーを形作ったか。その点で、ロドリは特別だった。彼が卓越した技術とビジョンでボールを動かすことで、シティの攻撃は始まっていたし、トランジションでも彼は守備網をつくり、それを即座に攻撃につなげていた。

 2024-25シーズン、ロドリがケガの大けがで戦線離脱した途端、シティは失速したが、それは自明の理だった。
 
 シティの戦いのリズムを、テンポを作っていたのはロドリであり、その存在が勝敗を左右していた。どこでボールをキープし、ためを作り、迅速にパスをつけ、シンプルにチャンスを作り出すか。詰まったところで背後に長いパスを入れ、自らのポジションで周りを動かし、セカンドを拾って、カウンターも発動。まさに八面六臂だった。

 それはゴールやアシスト数には表れないが、サッカーそのものと言える。
 
 2025年のバロンドールは、1位デンベレ、2位ラミン・ヤマルだった。二人はたしかに攻撃面で信じられない一撃を叩き込み、局面を変えられる最高のアタッカーだった。その順位に対し、異論はない。
 
 しかし、サッカーそのもの、と言えるような選手はいる。
 
 たとえば、今回11位だったペドリは、ロドリに近い称賛を与えられるべきプレーメイカーだろう。ボールプレーヤーとして突出。たとえ背後から迫られても、そのターンで無力化できる。

 半ば芸術的な技の数々でスペースを作り、使い、タイミングを支配。常に味方にアドバンテージを与えるパスが出すことで攻守を優位にし、軌道を見抜いたようなラストパスはまさに至高のサッカーだ。

 個人的には、2025年のバロンドールはペドリである。

文●小宮良之

【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

【画像】世界最高選手の称号!歴代バロンドール受賞者を振り返る

【画像】長澤まさみ、広瀬すず、今田美桜らを抑えての1位は? サカダイ選手名鑑で集計!「Jリーガーが好きな女性タレントランキング」TOP20を一挙紹介

【画像】9頭身の超絶ボディ! 韓国チア界が誇る"女神"アン・ジヒョンの魅惑ショット
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事