金田喜稔がパラグアイ戦を斬る!「CBに怪我人が多く、両サイドにはタレントがいる。この状態で無理に3バックをやる必要があったのか」

2025年10月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

日本の攻撃と守備の形は矛盾していた

リードを許しても粘り強く追いつく。日本はパラグアイ相手に2-2のドローに持ち込んだ。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

[国際親善試合]日本 2-2 パラグアイ/10月10日/パナソニックスタジアム吹田

 日本代表は、国際親善試合でパラグアイ代表と対戦し、2-2のドローに終わった。

 センターバックに負傷者が相次ぐなかで、日本代表はやり繰りしながら、3-4-2-1のシステムを採用して戦った。日本のセンターバックは世界で戦えるメンバーがすごく多くなったよね。今回は怪我で招集が見送られた冨安健洋や板倉滉を加えれば、色んな組み合わせができる。

 今の日本は、センターバックの駒がある程度、揃っていて、高さもフィジカルも世界に通用する状態。だけど、伊藤洋輝や冨安、板倉、高井幸大も含めて、カギとなるプレーヤーの怪我が多いよね。

 そこで問われるのは、ディフェンス以外の強みはどこにあるのかということ。日本の強みはサイド、ワイドプレーヤーの選手だと思う。両サイドには相当に特色を持った選手がいる。久保建英や堂安律、今回代表に復帰した中村敬斗や伊東純也、招集されなかった三笘薫もいるよね。

 今のチームを全体的に見た時、センターバックの怪我人が多いけど、両サイドにはタレントがいる。この状態で無理に3バックをやる必要があるのかと、見ていて感じた。伊東にしても途中から入った斉藤光毅も、彼らは3-4-2-1の中盤4枚の両ワイドをやっている時、ゲームの状況によっては5バックになる時がある。

 その5バックは、基本的にハイラインやオフサイドトラップを取りに行くようなシステムじゃない。しかし、日本はパラグアイ戦でハイプレスをかけていた。日本がやっていた攻撃と守備の形は、矛盾していたよね。
 
 日本が試合の中で良いリズムを作っていたのは、両サイドが仕掛けて、良いクロスを入れた時や、サイドからの崩しやサイドチェンジなどを組み合わせて攻撃を仕掛けている時だった。また、前半の攻撃の場面ではボランチの田中碧が3バックの間に下がって4バックの形を取り、相手のプレッシングを剥がして、パスコースを巧みに作り出していた。そこは、田中が今までとは違った変化をチームに与えていた。

 ただ、日本のシステム的にはやられてはいけないシーンもあった。日本は21分に先制点を献上。3バックの渡辺剛と瀬古歩夢の間のスペースを突かれ、ロングパス1本からミゲル・アルミロンにゴールを決められた。

 相手の前線に対して、日本は3バックで渡辺を余らせているにもかかわらず、ディフェンスラインの間にボールを通されて失点した。渡辺がマークするのか、瀬古がマークするのか、その迷いがあったのか。あるいは受け渡しができていなかったのかは分からないが、3バックであれば、あの中央突破はやられてはいけない。

 ロングパス1本で突破されてしまうようでは、何のために後ろに枚数をかけているのか。渡辺、瀬古、鈴木淳之介の3人それぞれが、ボールサイドに寄せるのか、1枚余らせてバランスを見るのか、その整理が不十分だった。

 相手がアジアのチームなら、3バックと5バックを併用し、それでもハイラインを保つことはできたのかもしれない。しかし、相手がブラジルやアルゼンチンになってくると、ハイラインはただのリスクでしかない。

 5バックをやるのであれば、たとえば前半に失点をしないためなど、割り切ったディフェンス、システムをチームが納得したうえでやるべき。5バックは、ディフェンスラインが下がって当たり前。わざわざハイラインを保つなど、リスクのある戦い方は取るべきではない。
 

次ページブラジル戦では鎌田と久保に期待

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事