日本戦の不甲斐ないパフォーマンスで、母国ファンから非難集中のパラグアイ代表守護神。父も代表のレジェンドGKで、38年前に来日を果たしていた【コラム】

2025年10月11日 石川聡

父の愛称は「ネコ」、息子は「子ネコ」で親しまれる

日本戦で2失点のフェルナンデスだが、ファインセーブも少なくなかった。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

 大阪のパナソニックスタジアム吹田で10月10日に行なわれたキリンチャレンジカップ2025の日本対パラグアイ戦は、2-2の引き分けに終わった。2026年ワールドカップの南米予選を自動出場枠ぎりぎりの6位で通過したパラグアイは、21分にミゲル・アルミロンが先制する。その5分後に小川航基の強シュートで一度は追い付かれるも、64分にディエゴ・ゴメスのヘディングシュートで再びリード。しかし、アディショナルタイム4分に上田綺世の同点ゴールが生まれ、勝利が指の間からこぼれ落ちた。

 パラグアイは今年9月、日本とのPK戦を制して初の準々決勝に進出した2010年ワールドカップ・南アフリカ大会以来となる4大会ぶりの本大会出場を決めた。予選突破が確定したエクアドル戦の翌日が休日となったことでも、その喜びの度合が分かる。

 来日したメンバーはワールドカップの出場経験がなく、それだけに本大会に向けた準備で「ワールドカップの試合に匹敵するような真摯な姿勢で臨んだ」(パラグアイのグスタボ・アルファロ監督)。それだけに勝利目前での引き分けに「残念な、悔しそうな顔をしていた」(同監督)のもうなずける。

 この悔しい結果に、母国では37歳のGKロベルト・フェルナンデスに批判が集中したようだ。小川のシュートを弾き切れず、試合終了間際の失点は、十分に守備範囲と思われた伊東純也のクロスを、中途半端な守りで処理できなかった。SNSには「代表のGKなんてあり得ない」「日本よりも危険(な存在)だった」といった苦言が溢れた。なお、フェルナンデスは昨年のパリオリンピックにもオーバーエイジ枠で出場し、初戦で日本に5失点を喫している。
 
 アルゼンチン人のアルファロ監督は「ワールドカップには出場するために行くのではない」と、強豪に一泡吹かせようともくろんでいる。その拠りどころとなるのは、やはりパラグアイ伝統の堅守速攻。南米予選でも18試合で失点10は、エクアドルの5に次ぎ、首位突破のアルゼンチンと並び2番目に少ない。

 実際、日本戦でも特に2度目のリードを奪った後の守備は集中力に溢れ、強度も高く、勝利への強い意志を感じさせてくれただけに、ワールドカップ本番で活躍するためには、守備の安定感をもうワンランク上げたいところだろう。

 話はフェルナンデスに戻るが、どこか記憶に残る名前だと思ったら、同名の父親もパラグアイ代表の守護神だった。ワールドカップでは1986年メキシコ大会で初のグループステージ突破に貢献。その翌年1月にゼロックススーパーサッカー87で、日本サッカーリーグ選抜と対戦した南米選抜の一員として来日している。前年のワールドカップでアルゼンチン優勝のヒーローとなったあのディエゴ・マラドーナを日本に呼びたい、という関係者の努力で実現したカードだった。

 父の愛称はネコを意味する「ガト(gato)」。今回の日本戦に出場したフェルナンデスは子ネコの「ガティート(gatito)」と呼ばれている。

文●石川 聡
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