「ひとつ上の段階に行ける」快進撃ヘントを牽引する27歳日本人MFの進化が止まらない!「得点力のあるボランチは、いいボランチだと思う」【現地発】

2025年10月04日 中田徹

「タイミングを考えながら長い距離を走ってます」

ゴールという結果に手ごたえを口にした伊藤。好調ヘントの攻撃にあって絶対軸を担う。(C)Belga Image/AFLO

 今季のヘントは開幕序盤に躓き、6節を終えた時点で16チーム13位だったが、7節でアントワープを2-1で下してから調子が上向いた。10月3日の10節ではホームにシャルルロワを迎えて2-1の勝利を掴み、順位を5位から暫定3位に上げ、国際マッチウイーク休暇に入った。

 右肩上がりのチームとともに、MF伊藤敦樹も冴え渡っている。シャルルロワ戦の9分、先制ゴールを決めて、これで今季3点目。浦和レッズ時代、2024年シーズンのJ1で記録した5ゴールを早々に抜きそうな勢いだ。

「早い時間帯でしたし、最初のチャンスだったので、シュートを打とうと思ってました。(対峙したふたりのDF相手に)ひとり目はシュートが股を抜けました。たぶん、ふたり目に当たって入りました」(シャルルロワ戦後の伊藤)

 前節のセルクル・ブルージュ戦(4-2で勝利)に続き、伊藤にとっては2試合連続弾となった。チャンスメイクも何度かあった。なにかファイナルサードでの感触を掴んだのか。

「そうですね。最近、ここ2試合、1列前でプレーしているので、よりゴールに関わるプレーを意識しているところです。ここ2試合、続けて結果に結びついているのが自信にもつながってます。個人的なフィーリングもいい感じです」
 
 ヘントのフォーメーションは3-6-1。中盤はボックス型だ。これまで伊藤はマティアス・デロージュとダブルボランチを組んでいたが、セルクル・ブルージュ戦、今回のシャルルロワ戦と続けてインサイドハーフのポジションでゲームをスタートさせた。「1トップ・2シャドーシステムのシャドー」と表現することもできる。

「よりゴールに近い位置でプレーしているので、ゴール、アシストのところを監督から求められています。裏に抜ける動きや、バイタルエリアでのクオリティーをもっと出せていけると思います」

 前半を1-1で終えると、後半は伊藤がボランチに入った。

「どっちのポジションでも自分の持ち味を出せると思ってます。そこは監督のチョイスだったりゲーム展開だったり、その場その場で求められることに応えていくだけです。どっちのポジションでもやりやすさを感じてます」

 後半開始早々、伊藤は得意の長駆フリーランニングで左オープンスペースに飛び出し、そこからストライカーのウィルフリッド・カンガに絶妙のラストパスを通した。

「ボランチの時はああいう回数を増やしたい。あれがもっとゴールに近い位置だったり、ゴールにつながればもっといいと思ってます。ボランチの時のほうが、(中盤の)底から出ていくことで相手は付きづらいと思いますので、タイミングを考えながら長い距離を走ってます」

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