U-17W杯で主将を務めた小杉啓太が明かす、”キャプテン市原吏音“の存在感。船越ジャパンで醸し出す“陽のオーラ”が快進撃の一因に【現地発】

2025年10月02日 松尾祐希

チリメディアに囲まれて楽しむ余裕も

小杉(右)がキャプテン市原(左)の存在の大きさを明かした。写真:松尾祐希

 開幕2連勝。U-20ワールドカップでは実に2007年大会以来で、内田篤人らが参戦した"調子乗り世代"に続く快挙だ。

 エジプトとの大会オープニングマッチ、ホスト国・チリとの圧倒的なアウェーマッチ。いずれも簡単なゲームではなかったが、それぞれ2−0で撃破してグループAの首位を走る。

 すでに勝点6に伸ばしており、1試合を残してノックアウトステージ進出が決まった。順位は確定していないが、グループ内で3位以内に入ることが決定。3位の場合は各組3位の上位4か国に入る必要があるが、すでに日本は4位以上が決まったため、大会一番乗りでグループステージ突破を勝ち取った。

 チームのカラーを一言で言えば、良い意味で怖いもの知らず。物怖じせず、アグレッシブに戦うメンタリティが今大会の快進撃に繋がっている。その雰囲気を作り出しているのが、キャプテンのCB市原吏音(大宮)であることは間違いない。

 根っからの"陽キャ"で、コミュニケーション能力はずば抜けている。周りを巻き込む力にも優れ、チーム全員を輪に入れながら団結した空気を作り上げてきた。

 そうした振る舞いは報道陣とのやり取りにも表れており、初戦の試合後にチリメディアに囲まれても動じずに対応。むしろ、楽しむ余裕すらあり、サッカー以外の話でも盛り上がるほどだった。日本のオススメの漫画を伝えるなど、海外の人とも積極的に会話をする素養を持つ。

 この振る舞いだけを見れば、アグレッシブな性格はCBに向いていないように思えるが、ピッチに入れば物事を冷静にジャッジできるタイプ。初戦と第2戦では冷静にGKの動きを読んでPKを決め、守備では周りと連係しながら最適なプレーを選択して無失点勝利に貢献した。
 
 そんな市原は、チームメイトからするとどんな存在なのか。23年秋のU-17ワールドカップでキャプテンを務めた小杉啓太はこう話す。

「彼は本当に良いキャプテン。みんなをまとめ上げる力もあるし、和ませる力もある。そういう意味では明るい雰囲気を作り上げるのが上手なキャプテンだと思います」

 チームを見ていても、自然と市原を中心に輪ができる。リカバリー中心のメニューとなった10月1日のトレーニングでも明るい雰囲気でメニューを消化し、練習前には冗談を言い合う姿が見られた。

 さらに小杉は続ける。

「常に自分がやっていることに対して、責任感を持っている。でも、オフザピッチでは積極的にいろんな人にコミュニケーションを取っていて、いろんな局面で選手たちをつなぐ役目を担っているように感じます」

 実際に小杉も市原の存在に助けられた時があった。船越ジャパンの活動への参加は、このワールドカップが2回目。不慣れなところもあったが、「(市原が)雰囲気作りをしてくれていたので、チームに入りやすかった。もちろん僕自身もコミュニケーションが苦手なわけじゃないし、初対面の選手でも全然話せるので。でも、いつも通りチームに入れたという意味では(有り難かった)」(小杉)。

 以前、浦和西高のサッカー部監督として17年にインターハイ出場に導き、現在は叡明高で指揮を執る父の市原雄心監督に話を聞いた際も、「昔から明るい性格だった」と話していた。根っからの明るいキャラクターで、醸し出す"陽のオーラ"はチームをまとめるうえでも、勢いをもたらすうえでも欠かせない。

 道のりはまだ半ば。チームを牽引する背番号5は目標である世界一を果たすべく、先頭に立って走り続ける。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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