首位鹿島と勝点9差の5位。町田キャプテン昌子源は何も諦めていない「一戦一戦に勝ってプレッシャーをかけたい」

2025年09月28日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

「やっぱりしたたかで試合巧者だと思います」

岡山戦で値千金の決勝ゴール。チームを勝利に導いた昌子。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 FC町田ゼルビアは9月27日、J1第32節でファジアーノ岡山とホームで対戦し、1-0の勝利を飾った。

 渇望していた勝点3だった。リーグ戦で6月から8連勝を飾ったものの、その後は3分け1敗の4戦未勝利。なかなか勝点を伸ばせなかった。

 そんななかで迎えた岡山戦は、大半の時間帯で主導権を握りながら、試合終了間際まで得点できなかった。また勝てないのか――という雰囲気も漂うなか、90+5分にDF昌子源が均衡を破る。

 MF下田北斗の右CKは相手に跳ね返されたが、こぼれ球を拾った下田がボックス内にボールを供給すると、FWオ・セフンが折り返し、昌子がヘッドで叩き込んでみせた。

 劇的な決着だった。黒田剛監督は「我々のコンセプトを、しっかりと最後まで切れずに実行してくれた印象です」と振り返る。「最後、セフンが折り返して源が決めてくれました。アディショナルタイムで点を取って勝つサッカーは本来、町田が求めていましたし、クリーンシートできたからこそ、このチャンスをモノにできた」と総括した。

 ヒーローになった昌子は、自分のところにボールが来るという予想ができていたと明かす。

「北斗君がクロスを上げたニア側にいて、(ボールが)自分を越えた時に、セフンのところに行ったので『もしかしたら来るかも』と思って、信じて走ってました。振り向いた瞬間、セフンの体勢的に直接ゴールは難しいと思ったので、『もしかして』が良かったです」
 
 先制しながら追いつかれた前節の京都サンガF.C.戦(1-1)の後には、32歳のキャプテンはチームメイトにカツを入れたという話を交え、こう述べる。

「ゴールは、たまたま"おまけ"みたいなものです。しっかり戦っていると、言ったからには責任があります。前節の後に僕が言ったのは、僕自身にかけた言葉でもありました」

 チームは岡山戦の勝利で、リーグ戦で6試合を残して首位の鹿島アントラーズとの勝点差9の5位を保ち、優勝に望みをつないだ。2011年から18年まで鹿島でプレーし、Jリーグやアジア・チャンピオンズリーグの優勝にも貢献した昌子は古巣の強さを認めつつ、昨季終盤に逆転されて3位となった町田も重ね、次のように語る。

「鹿島は歴史があるクラブですし、いろんな優勝の仕方をしています。1位のまま、大逆転、どちらの経験もあるので、やっぱりしたたかで試合巧者だと思います。昨年、僕らは首位の期間が長くて、ずっと追われる立場のプレッシャーを感じました。鹿島はそういうプレッシャーには慣れているでしょうけど、いくら鹿島でも下の僕らが勝つことで少なからずプレッシャーを、絶対にジワジワと感じているはずです」

 そして、「プレッシャーをかけていくしかない。鹿島以外に僕らの上にも何チームかいるなか、他力でしか優勝できないですし、確率では少なくなっていますけど、ゼロにならない限りは諦めず、一戦一戦に勝ってプレッシャーをかけたいです」と続けた。

 町田は30日に、中2日でアジア・チャンピオンズリーグエリート第2節のジョホール戦を敵地で迎える。天皇杯ではベスト4まで勝ち残っている。連戦が続くなかで、25シーズンの町田はどのようなフィナーレを迎えるか。

取材・文●野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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