平畠啓史チョイス“至極の11人”|敵将も思わず苦笑い。個の力で組織を粉砕。4戦7発のFWが文句なしのMVP【J1月間ベストイレブン8月】

2025年09月11日 平畠啓史

京都の鈴木は絶対的守護神だ

平畠氏が選出した8月のJ1月間ベストイレブン。(C)SOCCER DIGEST

 芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。8月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。

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 暑い日々が続き、1年の終わりが近づいている気持ちにはならないけれど、J1リーグは残り10節になり、2025シーズンの終わりは確実に近づいてきている。

 町田、G大阪、神戸、広島は5試合。その他のクラブは4試合を戦った8月。猛暑のなか、京都が見事4連勝で首位に立った8月のJ1リーグ、ベストイレブンそしてMVPを選んでみたいと思います。

 GKは広島の大迫敬介。5試合で2失点。どのゲームでも安定したパフォーマンスを見せたが、1-1で終わった28節・C大阪戦では好セーブを連発。38分のチアゴ・アンドラーデ、77分のラファエル・ハットンの決定機を完璧に防ぎ、チームに勝点をもたらした。至近距離のシュートに対し、慌てることなく反応。見事なセービングだった。

 DFには久保藤次郎、鈴木義宜、林幸多郎。柏の久保は2ゴール。サイドでの攻守における貢献は言うまでもないが、ゴール前でも仕事ができ、ヘディングシュートも上手い。身長は167センチで、数字だけ見れば小柄ということになるが、姿勢と身体の強さもあり、小柄なプレーヤーに見えないのが、久保の凄さでもある。あまりに信じられないので本人にも確認したが、167センチとのこと。ピッチ上で大きく見えるのは良い選手の証でもある。

 守護神という言葉はキーパーに使われるようになっているが、フィールドプレーヤーに使っても問題ないはず。京都の鈴木を絶対的守護神と呼んでも問題ないだろう。ゴール前での守備はもちろん、相手のフォワードにボールが入った時の鋭い寄せ、そしてボール奪取で相手の攻撃を未然に防ぐシーンの多いこと。4連勝の京都は攻撃に迫力があるが、鈴木の守備も見逃せない。4試合で1失点である。

 町田の林も2ゴール。守備も攻撃もロングスローも。仕事は多岐にわたる。相馬勇紀が外に開いて、林がインサイドに入っていく町田の攻撃は魅力的。右の望月ヘンリー海輝との役割の違いも面白い。
 
 ダブルボランチの1人は、福岡の名古新太郎。ボランチにした理由は後述するとして、8月は2G3A。25節・川崎戦では、川崎が1人少なくなったとはいえ、2G2A。5点目をアシストした藤本一輝にパスを出したのも名古だったので、5ゴールすべてに絡む活躍を見せた。

 実は、74分から90+1分まで、名古はボランチでプレーしたが、ボールさばきが見事で、またボランチでのプレーを見てみたいと思わせる内容だった。ゆえに、今回はボランチの位置に名古を配置させていただきます。

 ボランチのもう1人は、柏の中川敦瑛。サイドステップ、バックステップで常に最適なポジションを探り、ボールを受ければ持ち過ぎることなく、テンポ良く味方へとボールを繋げていく。その一連の動きはスムーズで、キックのミスも少ない。主体的にゲームを進める柏の中盤に不可欠な選手。ベンチで試合を見つめる大谷秀和コーチの正統後継者だと勝手に思っている。
 

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