第二次大岩J、クウェート戦で新戦力が台頭! ロス五輪世代のテーマ“ラージ100”の構築へ、ミャンマーの地で示した真価【U-23アジア杯予選】

2025年09月10日 松尾祐希

最も大きな収穫はチームとしてのタスク理解

大岩ジャパン初参戦組の石橋。クウェート戦でチームの4点目をアシストした。写真:佐藤博之

[U-23アジア杯予選・第3節]日本6-1クウェート/9月9日/トゥウンナ・スタジアム

 今から遡ること約2週間前。8月29日のメンバー発表記者会見の場で、山本昌邦ナショナルチームダイレクターはこんな言葉を残していた。

「"ラージ100"をテーマに100人の選手が五輪代表に入って、誰が出ても戦えるような集団を作っていきたい」

 インターナショナルマッチウィーク外に行なわれる五輪本大会は、誰が招集できるか不透明。特に海外組の選手は直前まで状況が読めず、ギリギリまで誰を登録できるか見通せない。難しい局面に対応すべく、どの選手がピッチに立っても大丈夫なチーム作りは必須で、選手層の底上げを果たしていきたいという想いから出た山本NDの言葉だった。

 そういう意味では、今回のU-23アジアカップ予選は大きなチャンス。今大会後にU-20ワールドカップを控えている関係で、ミャンマーの地に連れていけなかった者もいる。そのため、選手選考の幅を広げ、様々な選手にチャンスが与えられた。

 公式戦を通じて選手たちの力を知るのはもちろん、厳しい環境で戦う経験をすることで成長スピードを加速させるまたとない機会。そのなかで今予選は連勝を飾ったが、2戦目までの内容は決して褒められるものではない。

 特に第2戦のミャンマー戦(2-1)は残り10分を切ってから同点に追い付かれる展開に。終了間際にMF名和田我空(G大阪)がPKを決めて勝ち切ったものの、厳しい現実を突きつけられる結果となった。

 予選突破に王手をかけた状態で最終戦に迎えられたものの、クウェート戦で求められたのは、厳しい環境でいかに結果と内容が伴う勝利を掴み取れるか。選手たちの力が試されていた。
 
 開始10分で先制される苦しい立ち上がりとなったが、その後のパフォーマンスは目覚ましかった。MF川合徳孟(磐田)は抜け目ないポジショニングでこぼれ球に反応し、圧巻のハットトリックで勝利に貢献。7月下旬のウズベキスタン遠征で結果を残したFWンワディケウチェブライアン世雄(桐蔭横浜大)も本領発揮した。

 初戦は決定力を示せなかったものの、この日はPKで決めた逆転弾に加え、ふたつのゴールをお膳立て。試合中は大岩剛監督からポジショニングの修正を求められるシーンが何度かあったが、結果を残せた点は明るい材料だろう。

 追加招集ながら今予選2度目の先発となったMF矢田龍之介(筑波大)もチームの4点目をゲット。「良かったです」と嬉しそうな表情でスタジアムを後にした姿からは充実感が漂う。

 第二次大岩ジャパン初参戦組では、MF石橋瀬凪(湘南)が躍動。後半開始からピッチに立つと、ミャンマー戦の悔しさをぶつけるように得意のドリブル突破でチャンスメイク。3−1で迎えた56分には左サイドを切り裂き、クロスから川合のゴールを演出した。

 大岩監督も選手たちの奮起に頬を緩めたが、結果を出したこと以上に手応えを得たのは、チームとしてタスクを理解したことだ。

「本人たちは数字が欲しいし、結果が欲しいと思う。ただ、そこにフォーカスする以上にチームのタスクやどういうプレーをすれば自分たちが得点を奪えるのか。そういうところが3戦目にしてすごく理解し始めたのが良かった。1人じゃなくて、2人、3人、4人、5人と関わってプレスをひっくり返したり、そういうことができたと思う」

 今予選で得た経験や結果を選手たちがチームに持ち帰り、どのように表現していくのか。"ラージ100"の構築はまだ始まったばかり。ロス五輪世代のさらなる成長に期待したい。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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