【リオ五輪】久保から“託された”鈴木武蔵のソウルフルな誓い

2016年08月03日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「せっかく巡って来たチャンス。メダルを必ず獲って帰りたい」

2日の戦術練習では左のウイングでプレー。バックアップメンバーからの“昇格”に気合いを見せる。写真:JMPA/小倉直樹

 現地時間8月2日、日本代表は久保裕也の招集を断念し、バックアップメンバーの鈴木武蔵の本大会メンバーへの追加登録を発表した。鈴木は昼食後のミーティングで本大会メンバーへの"昇格"を伝えられたというが、合流からわずか1日にして五輪メンバーとなり、「複雑な気持ちではあった」という。もっとも、"昇格"して立場が変わっても、「チームのために自分ができることをやる」スタンスは変えない。

【リオ五輪PHOTO】バックアップメンバーも参加。マナウス練習2日目
 
「バックアップ(メンバー)の時からチームのためにできることをやろうと思っていたので、(自分の)想いに変わりはありません。途中からの合流に関しても、ずっと一緒にやってきたメンバーだし、そんなに問題はないと思います。せっかく巡って来たチャンスなので、しっかりモノにしたいですね」
 
 チームのために、自分のために、戦うだけではない。鈴木はクラブ事情で夢だった五輪出場を断念した久保の想いも背負う覚悟でいる。
 
「久保の想いを考えると、やっぱりアイツの分も頑張んなきゃいけないと思います」
 
 前日はランニングや体幹トレーニングなど軽めの調整だったのに対し、この日はチーム合流後初めて本格的なトレーニングに参加した。戦術練習では4-3-3の左ウイングに入ったが、新潟でもサイドでプレーした経験がある分、「そこまで抵抗はなかった」と話す。
 
「監督からは2トップだったり、3トップだったり、その中のどこでもできるように、いろいろイメージしてやってもらいたいと言われました。(ボールを)奪った瞬間、最初に狙うのは背後なので、そこをしっかり狙って、前で起点を作ったり、ボールを保持するプレーを見せたいです」
 
 手倉森監督は「よくアクシデントが起きるチームだなと」と笑いを誘い、「その分、ドラマティックなことも起きている。今回もこの(久保断念の)アクシデントを乗り越えてドラマティックな大会にしたい」と語った。五輪メンバーに滑り込んだ鈴木は、ドラマティックなサクセスストーリーの主人公となれるのか。「メダルを必ず獲って帰りたい」という力強い言葉には期待を持てる。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト特派)
 
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