横浜FCに足りない部分を埋める、補う。山田康太が試合中に考えていること。神戸戦の決勝点に手応え「今後も続けたい」

2025年08月20日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「“絵”が浮かばなかったら、自分はあんまり蹴れない」

横浜FCでボランチとシャドーを兼務する山田。攻守両面で欠かせないキーマンだ。写真:永島裕基

 リーグ戦で9試合ぶりの白星だ。8月16日に行なわれたJ1第26節で、横浜FCはヴィッセル神戸と敵地で対戦し、伊藤翔の決勝弾で1-0の勝利を収めた。

 ここ最近は失点が続いていたが、クリーンシートも9試合ぶり。相手の迫力ある攻撃に粘り強く対抗した。守備面がより整理されてきた印象だが、神戸戦にボランチでフル出場した山田康太に訊けば、「でもやっぱり、緩くなるシーンだったり、もっと行かないとダメだよって思うところとか、行けていないシーンがあると思っている」と応じる。

 まだ完璧ではない。だからこそ、自分から"発信"していきたいと考えている。

「それは自分も率先して、声でというか、プレーでもやっていきたい。もっと厳しく行かなければいけないっていう時間帯に、自分が1つ、バッて行くことによって、周りも感じてくれると思うし。それぐらいやらないと勝てないんだなって」

 その言葉からは、強い責任感が伝わってきた。

「この前(神戸戦)はタカ(遠藤貴成)とか若い選手が出ていて、感じてくれたらいいなって。スタメンで神戸とやるってところで、もっと堂々とやっていいんだよと、試合後にも伝えられたし、こうやって勝つことによって、きっとタカも次、もっと堂々とプレーできて成長していくと思う。そういうチームに足りないなと自分が思ったところは、声もそうですけど、プレーで引っ張ってやっていきたいなっていうところはありますね」

 チームに足りないところ。そこを埋めたり、補う作業は他にもある。「(パスが)入ったあとの"絵"が浮かばなかったら、自分はあんまり蹴れないというか、預けようと思えない」という山田。自分なりの戦略がある。

「うちは(パスの受け手が)見えたからすぐに使って、守備が重たいなか、(前線の選手に)預けてっていうところで奪われるシーンも多かったと感じていて。だから自分のところでどうにかタメを作ろうというのは、試合中も考えている」
 
 そのアクションが実を結んだのが、神戸戦の得点シーンだ。スコアラーの伊藤が振り返る。

「(新保)海鈴が1対1で勝って、ボールを奪って、そのあと、康太が2回、切り返しているんだけど、あれで時間を作ってくれたおかげで、俺、ペナルティエリアの中まで戻っていたけど、ちょっと前に行く時間ができた」

 味方が攻め上がる時間を作った山田が、前方の櫻川ソロモンに浮き球パスを入れる。これはつながらなかったが、こぼれ球を拾った熊倉弘貴がすかさず櫻川に縦パスを供給。左サイドを抜け出した櫻川のクロスを伊藤が仕留めた。

 伊藤が強調したのは、山田の二度の切り返しだ。「ああいうプレーで時間を作ってくれると、やっぱり、みんなが助かる。見ている人には伝わりにくいかもしれないけど、中にいると、あれで全然、違うから。けっこうなファインプレーだった」

 山田も手応えを口にする。

「あのシーンも、(自分のパスが)うまくつながらなかったけど、クマのところにこぼれてくれた。自分のところで時間を作って、ああやって分厚いかは分からないですけど、(熊倉が)セカンドを拾える距離にいて、ゴールが生まれたのは自分でも感じた。良かったなと思うし、今後も続けたいです」

 次節は連勝を懸けて、ガンバ大阪のホームに乗り込む。山田にとっては古巣が相手となる。攻守の両局面で抜群の存在感を放つ26歳は、「アウェーですけど、アグレッシブに、自分たちがガツガツと行けたら、きっと相手は嫌なんじゃないかなとは思う。そこはチームとして出していけたらいい」と気合を入れた。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

【動画】山田康太のファインプレーが起点。伊藤翔の"エジルキック"決勝弾

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