上位対決2連勝で首位の水戸と勝点3差。17年ぶりのJ1へジェフの充実ぶりが垣間見えたワンシーン

2025年08月17日 本田健介(サッカーダイジェスト)

徳島にも1-0で勝ち切る

試合後の記念撮影。徳島にも競り勝ってみせた。写真:福冨倖希

[J2第26節]千葉 1-0 徳島/8月16日/フクダ電子アリーナ

  2位の千葉が3位の徳島をホームに迎えた一戦。25試合で13失点という堅守を誇る徳島に対し、なかなかゴールを奪えずにいた千葉だが、65分にオウンゴールで決勝弾をもぎ取り、前節の大宮戦(〇1-0)に続く、上位対決をクリーンシートで連勝し、首位の水戸との勝点差を「3」に縮めてみせた。

 17年ぶりのJ1へ、小林慶行監督体制3年目でこれまでにない風に乗っている千葉は、悲願成就へ力強い戦いを続けている。

 これまでの千葉といえば、良いサッカーを展開してもゴールが奪い切れない、土壇場で失点をするなど悔しい経験を重ねてきた。

 しかし、前節の大宮戦に続き、今の千葉は何度もチャンスを生み出しつつ粘り強く試合を進め、この日も結果的にはオウンゴールとなったが、相手が守り切れない状況を作り出してネットを揺らす勝負強さを発揮。現に決勝弾はカルリーニョス・ジュニオの右からのクロスにDFが足を伸ばさなければ、後方のFW森海渡が押し込むだけの形であった。

 
 そして何より印象的だったのは、81分のシーンだ。前線の選手を次々に入れ替えてきた徳島に対し、終盤は押し込まれた千葉は、自分たちのCKからカウンターを受ける。

 徳島のジョーカー、FWローレンス・デイビッドに右サイドを持ち込まれ、最後はトニー・アンデルソンにシュートを打たれる。古巣対戦となったGKホセ・スアレスが辛うじてセーブしたが、このシーン、千葉の選手たちは試合終盤ながら全速力で自陣へ戻り、ペナルティエリアにはGKを含め10人の選手が入っていた。

 最前線にポジションする森でさえ、ペナルティエリアの直前まで戻っている。たらればの話になるが、この高い守備意識、勝利への執念がなければ失点していてもおかしくない場面だったのかもしれない。

 攻撃は後方から丁寧につなぎ、ロングボールも取り入れて、両サイドの槍と呼べる左の椿直起、右のイサカ・ゼインを活かしつつ、ダイナミックにゴールへと向かう。そして組織的に対応し、危ないとなれば誰もが身体を張り、ゴールを守る。

 そんなパフォーマンスにこれまでの勝負弱いと言われた姿は感じられなかった。綺麗に勝とうとしても難しいのが今のJ2だ。最後は気持ちの勝負になることが多い。そのなかで猛暑の苦しい試合終盤に誰もが足を止めず、勝利への執念を示し、全速力で相手のカウンターに対して走った千葉の選手たちの姿勢は、心を揺さぶるものがあった。

 様々な要因があるが、そんなふとした場面にも今の千葉の充実ぶりが見えた印象だった。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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