【総体】王者撃破後も快進撃は続く。昌平を牽引するドリブラー本間椋が3戦連発の4得点!

2016年07月30日 安藤隆人

後半アディショナルタイムに起死回生の同点弾!

3試合連続の4得点をマークした本間(9番)。快進撃を見せるチームの原動力となっている。写真:安藤隆人

[インターハイ3回戦]昌平 1(4PK3)1 前橋商 7月29日/Eスタ
 
 前橋商の固いブロックを中央からこじ開けたのは、1トップに君臨するドリブラー・本間椋だった。
 
 2回戦で大会3連覇を狙った東福岡を3-2で破り、大きなインパクトを与えた昌平。その東福岡戦で1ゴール、初戦の中津東戦でも2ゴールを挙げ、MF針谷岳晃、FW松本泰志と3人でチームの全8ゴールを叩き出していた。
 
 3回戦の前橋商戦でもこの3人のアタッカーを軸に、攻撃陣が爆発……とはいかなかった。
「前半は完全に相手に『ボールを回させられている』展開だった」
 
 3ラインでブロックを作り、鋭い寄せと素早い帰陣で組織的な守備を構築した前橋商に対し、ボールを保持するが、肝心のアタッキングエリアへの侵入が果たせない。すると前半29分には、MF大塚優斗の裏へのボールに抜け出したFW星野周哉が、飛び出して来た昌平GK緑川光希を交わして、無人のゴールに流し込み、前橋商が先制に成功した。
 
「ハーフタイムに藤島(崇之)監督から『もっとリスクを背負って、縦パスを入れて行け』と言われた。僕もボールを受けに下がったら絶対にダメだと思った。前線に残って、縦に仕掛け続ければ、必ず崩れると思った」(本間)
 
 指揮官の檄と、ドリブラーとしての矜持を胸に、後半のピッチに立った。本間の積極的な仕掛けが、徐々に前橋商の守備網にほころびをもたらすと、針谷、松本、MF佐藤大誠らが前向きにバイタルエリアに飛び込めるようになり、攻撃の圧力を強めていく。
 
 そして迎えた後半アディショナルタイム。最後の猛攻を仕掛けた昌平は、松本からMF桜井優希にボールが渡ると、桜井がゴール前のスペースに走り込んだ本間にパスを送り込む。本間はバランスを崩しながらも、まっすぐにゴールを見つめ、左足インサイドでインパクト。前に飛び出して来たGKを越えて、ボールはゴールに吸い込まれた。
 
 起死回生の同点弾。そのままPK戦にもつれこむと、本間を含めた4人全員が成功した昌平に対し、前橋商は2本を外し(1本はGK緑川がセーブ)、勝負あり。初出場の昌平がベスト8進出を果たした。
 
「インターハイは35分ハーフなので、時間が過ぎるのが早い。どうしても焦りが出ると思うのですが、平常心でやるべきことをきっちりやることを意識しました」
 
 焦ること無く、自らの武器を信じてトライした結果の同点弾。これで3試合連続の計4ゴール。得点王も視野に入って来た。
 
「いろんな選手が点を取れるのが、今年の強み。その中でたまたま僕ら3人が点を取ることができています。周りと連係しながら、自分の武器をチームのために生かしたい」
 
 得点王はチームの中で自分がやるべきことをきっちりとやり続ければ、自ずとついて来るもの。昌平の快進撃を牽引するドリブラーは、次なる相手・静岡学園に対しても変わらぬ姿勢を貫く。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事