「10番がピッチにいない…」FC東京対鹿島戦で感じた“エースナンバー不在の寂しさ”【コラム】

2025年08月12日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

東は89分から途中出場、柴崎は…

鹿島戦で途中出場の東はインパクトを残せなかった。写真:金子拓哉(サッカーダイジェスト写真部)

 この日のスタメン表を見た瞬間、思わず眉をひそめた。

 2025年8月10日、FC東京対鹿島アントラーズ戦の取材をするために味の素スタジアムに向かった。電車移動中に両チームのスターティングメンバーを確認して気づいたのは、両チームの10番がベンチスタートという事実だ。

 サッカーにおける10番はいわゆるエースナンバー。攻撃をけん引し、チームを勝利に導く役割が求められる背番号だ。しかし、この一戦のキックオフ時、ピッチには10番がいなかった。

 FC東京の10番は東慶悟、鹿島のそれは柴崎岳。ともに司令塔タイプのMFだが、東は89分から途中出場、柴崎は出番なしに終わった。ちなみに、浦和レッズの10番・中島翔哉もベンチもしくはメンバー外が今季は少なくない。

 確かに近年、「背番号10=絶対的なエース」という感覚は薄れつつあるかもしれない。チームの戦術や選手のタイプによって役割は多様化し、背番号は象徴でしかなくなったとの見方もある。それでも、日本代表の10番・堂安律は「特別なもの」と公言しているし、私自身も「選ばれし者だけが背負う番号」だと考えている。
 
 この日の試合(鹿島が1−0で勝利)は両チームとも決め手を欠くシーンが多かったが、ピッチに"ゲームを仕切る存在"がいれば、また違う展開になったかもしれない。

 思い出すのは、"10番の象徴的存在"ラモス瑠偉氏の言葉だ。かつて日本代表で10番を付けていた南野拓実に対し、この元日本代表MFは次のように叱咤激励した。

「南野はあまり良くなかった。10番なんだから攻撃でいつも顔を出してほしいし、みんなを動かせるような選手になってほしい。アシストをするとか、もっとペナルティーエリアの中でドリブルとかシュートを狙うとかね。10番はゲームを仕切るって姿勢が必要だ」

 背番号にこだわる必要はないかもしれない。だが、やはり10番は特別であってほしい。象徴であり、チームの心臓である。そんな10番をピッチで見たい。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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