ユニホーム管理の仕事で何かが大きく変わった――1年前より逞しさを増した守護神が大舞台で躍動。好守連発&PKストップで神村学園の初優勝に貢献【総体】

2025年08月02日 松尾祐希

責任感の向上はプレーにも好影響

ファイナルの舞台でも堂々としたプレーで初優勝に貢献した寺田。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[総体決勝]神村学園 2(7PK6)2 大津/8月2日/Jヴィレッジスタジアム

 試合終了のホイッスルが鳴ると、優勝の喜びを噛み締めた。選手たちは感情を爆発させ、スタッフ陣はベンチで抱き合い、スタンドにいたコーチは涙を流す。待ちに待った初の日本一に誰もが酔いしれた。

 8月2日、福島県のJヴィレッジで全国高等学校総合体育大会(インターハイ)男子サッカー競技の決勝戦が行なわれ、神村学園が大津を撃破。1-1で70分を終え、延長戦では1点ずつを取り合う。勝負の行方はPK戦へ。これを7-6で制した神村学園が初優勝を成し遂げた。

 大きな注目を集めた"九州決戦"を制するうえで、大きな役割を果たしたのが神村学園のGK寺田健太郎(3年)だ。

 試合では2失点したものの、それ以外はパーフェクト。1対1を何本も止めるなど好守を連発。大津のエースストライカーで今大会9得点のFW山下虎太郎(3年)に何度か近距離からシュートを打たれたが、コースを消しながら身体全体を使って阻止した。

 寺田本人は「得意ではない」と苦笑いを浮かべたものの、クロス対応も完璧。勇気を持って飛び出し、ボールをこぼすシーンはほとんどなかった。

 寺田は大分のスマイス・セレソンに所属していた中学時代に、鈴木勝久GKコーチの誘いを受けて神村学園に進学。1年次からトップチームに帯同するなど、期待される存在の1人でもあった。ただ、悔しさを味わうことも。セカンドGKとして支えた昨季は、準優勝したインターハイでは同級生のGK江田優大(2年)がレギュラーとして活躍し、寺田はベンチから戦況を見守ることしかできなかった。
 
 迎えた今季は正GKの座を掴み、安定感のあるプレーで最後尾から仲間を鼓舞。大きく成長して、このインターハイでもハイパフォーマンスを披露した。自身の変化について、寺田はこう話す。

「サッカー面もかなり変えられたと思うけど、今年は責任感が増した。責任感については先生たちや去年の3年生からも指摘されていたんです」

 特に自分が大きく変わるきっかけが、高校2年生の終わりからユニホーム管理の仕事を任されたことだという。

「(ユニホームの不備がないように)みんなで管理しつつ、足りない番号があったら自分で気がつくこともあった。そういう経験が活きている」

 細かいところまで気を配ることを覚え、仲間に迷惑がかけられないという心構えから自覚が高まる。責任感の向上はプレーにも好影響を与えたという。

「去年は自分が飛び出すのか、飛び出さないのかがかなり曖昧だった。センターバックに任せてしまうシーンが多かったんですが、今季は自分の判断で責任を持ってキャッチができている」

 チームのために戦うという気持ちを強く持ち、決勝では苦手だったPK戦で4本目をストップ。鈴木GKコーチや分析担当スタッフがもたらしてくれた情報を無駄にせず、想いに応える活躍を見せた。

「自分のセーブで試合を勝たせることもできるし、逆に自分のミスで負けるケースもある。責任が問われるポジションだと思う」

 GKのやりがいについてこう話した寺田。1年前よりさらに逞しさを増した。誰からも信頼される守護神に変貌を遂げた男の存在なくして、神村学園の初優勝は成し得なかった。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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