悔しい敗退。でも戦い抜いた。全力を出し切った。楽しかった。流経大柏の小柄なCBの奮闘は、観る人の心をグッと掴んだはずだ【総体】

2025年08月01日 森田将義

無失点で準決勝まで勝ち上がる原動力に

タフなプレーで最後まで戦い抜いた廣瀬。山下とのマッチアップを「楽しかった」と振り返る。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[総体準決勝]大津 0(9PK8)0 流通経済大柏/8月1日/Jヴィレッジスタジアム

 大津vs.流通経済大柏。同じカードだった昨年度の選手権3回戦で、スタンドから応援を送っていた男は、約7か月後のインターハイ準決勝でピッチに立ち、心を躍らせていた。

「スタンドで感じていたものと、実際にやってみて感じたことはまったく違う。選手権の時は出たい気持ちもあったのですが、応援するので一生懸命だった。でも今回、大津の9番(山下虎太郎)は得点王じゃないですか。俄然、やってやろうという気持ちでしたし、途中から楽しくなって、どんどんボールを付けてほしいなと思っていました」。試合後、そう笑みを浮かべたのは、流通経済大柏のDF廣瀬煌(3年)だ。

 中学時代は、風間八宏氏(南葛SV監督)が代表を務める茨城県のトラウムSVでプレー。当時はボランチが定位置で「今とはまったくプレースタイルが違って、ドリブルをするだけの選手だった。ボールを受けて前を向いて、パスを出すタイプ」(廣瀬)だったが、流通経済大柏に進学し、守備職人としての才能が開花する。

 身長は175センチと守備の選手としては小柄だが、スピードがあって対人にめっぽう強い。Bチームでプレーした昨年は、プリンスリーグ関東2部でSBとして起用されると、最終学年を迎えた今年はCBに本格コンバート。「身長が小さく、並みの選手よりヘディングはできないので、地上戦で違いを見せつけないといけない」。そう意気込む廣瀬は相手の動きを予測し、来た瞬間に奪い取る守備を徹底して磨いてきた。

「廣瀬はワンランク抜けている。彼がいるから大徳やメンディーが思い切ってやれると思う。最後に彼やキーパーの藤田泰士がいるから、ディフェンスがより安定している」。榎本雅大監督が絶大な信頼を寄せるように、廣瀬の守備力は今年の流通経済大柏に欠かせない。今大会も無失点で準決勝まで勝ち上がる原動力となった。
 
 迎えた準決勝の大津高戦は「自分的には今季最高のゲームができた」と評する試合展開。ここまで9得点を奪い、得点王ランキングトップを走る山下に対しても、ボールが入った瞬間を抑えつつ、スペースに走り込まれても身体を投げ出してシュートを打たせない。チームメイトがやられそうになった際のカバーリングも徹底できており、廣瀬がいたから無失点を保てたと言っても過言ではなかった。

 無失点に抑えながらも、大津の堅守を崩せず。0-0で迎えたPK戦を8-9で落とし、大会を去ることになったが、悔しさ以上にすべてを出し切った充実感の方が強いという。

「山下とのマッチアップは楽しかった。足が速い人とやり合うのは、自分も足が速いので好き。今大会は出し切った。今大会を無失点で終えることができたのは大きい。それにプレミアリーグで西の選手とやる機会がなかったけど、いざやってみて通用したので自信に繋がりました」

 憧れの選手として挙げるのは、流通経済大柏のOBである田口空我(現・流通経済大)と元イタリア代表のファビオ・カンナバーロ。2人は自分と同じ小柄なCBで、自身も見る人の心を揺さぶる選手になりたいと考えている。

「自分は小さいので、終わった後に悔いを残さないプレーをして、小さくてもサッカーをやっている人に勇気を与えることができればと思ってプレーしています」。廣瀬はそう口にするが、今大会での奮闘を目にした人たちの心をグッと掴んだのは間違いない。

取材・文●森田将義

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