“太刀打ちできなかった”というのが現実
クラブW杯は3連敗に終わった浦和。(C)Getty Images
紙一重なのだろう。
日本と「世界」の差だ。
クラブワールドカップ、アジア王者として挑んだ浦和レッズが健闘したのは間違いない。南米の雄、リーベル・プレートを相手に怯まず戦った。欧州チャンピオンズリーグ、ファイナリストのインテル・ミラノには、後半半ばまで試合をリードしていた。メキシコの強豪、モンテレイにも怯んでいない。
しかし、3連敗で勝ち点は0だった。2得点9失点、得失点差も含めて出場32チーム中、最下位。受け入れるのは難しいだろうが、"太刀打ちできなかった"というのが現実と言える。
ただ、根本から変える必要はない。戦術的なメカニズムの問題で、あまりに受け身的で、ボールを持つ時間を増やす必要などはあるだろう。しかし、他はわずかな差だ。
たとえば、モンテレイ戦で松尾佑介は前半に決定機を外している。
拮抗した展開、右サイドで関根貴大が相手を外して自陣から敵陣へ入れ替わり、中央の渡邊凌磨へ。渡邊は左サイドからフリーで入ってきた松尾にパスを託した。相手のスライドが間に合っていない状況、松尾は左足でコントロール。利き足の右足でシュートを打とうとしたが、寄せてきたディフェンスのタックルに防がれた。
最後のコントロールはやや前に流れたのもあったが、それよりもディフェンスに近い右に置こうとし、シュートの角度はなくなっていた。
〈シュートの場面では相手よりも遠いところにコントロールする〉
その原則で言えば、松尾のシュートはブロックの時間を与えていたし、止められたのは必然だった。無論、紙一重の話で失敗したわけではない。しかし、この選択によって、その後には豪快なシュートを叩き込まれているのだ。
日本と「世界」の差だ。
クラブワールドカップ、アジア王者として挑んだ浦和レッズが健闘したのは間違いない。南米の雄、リーベル・プレートを相手に怯まず戦った。欧州チャンピオンズリーグ、ファイナリストのインテル・ミラノには、後半半ばまで試合をリードしていた。メキシコの強豪、モンテレイにも怯んでいない。
しかし、3連敗で勝ち点は0だった。2得点9失点、得失点差も含めて出場32チーム中、最下位。受け入れるのは難しいだろうが、"太刀打ちできなかった"というのが現実と言える。
ただ、根本から変える必要はない。戦術的なメカニズムの問題で、あまりに受け身的で、ボールを持つ時間を増やす必要などはあるだろう。しかし、他はわずかな差だ。
たとえば、モンテレイ戦で松尾佑介は前半に決定機を外している。
拮抗した展開、右サイドで関根貴大が相手を外して自陣から敵陣へ入れ替わり、中央の渡邊凌磨へ。渡邊は左サイドからフリーで入ってきた松尾にパスを託した。相手のスライドが間に合っていない状況、松尾は左足でコントロール。利き足の右足でシュートを打とうとしたが、寄せてきたディフェンスのタックルに防がれた。
最後のコントロールはやや前に流れたのもあったが、それよりもディフェンスに近い右に置こうとし、シュートの角度はなくなっていた。
〈シュートの場面では相手よりも遠いところにコントロールする〉
その原則で言えば、松尾のシュートはブロックの時間を与えていたし、止められたのは必然だった。無論、紙一重の話で失敗したわけではない。しかし、この選択によって、その後には豪快なシュートを叩き込まれているのだ。
たとえば、同大会でユベントスがマンチェスター・シティと戦った試合、ドゥシャン・ヴラホビッチは確実に得点を決めていた。ヴラホビッチは左から入ってきた味方の動きに合わせ、相手ディフェンスの背後を取って、引き出したスルーパスに対し、まず左足アウトでコントロール。右後方のディフェンスに選択肢を与えず、ハンドオフしながら右に置いたボールを右足で打ち込んだ。
常に相手ディフェンスからボールを遠ざけ、フィニッシュできるか。
レアル・マドリーのヴィニシウス・ジュニオールも、ザルツブルク戦ではスルーパスで抜け出すと、一度は右足で遠いところに持ち込み、回り込んできた相手と入れ替わり、相手から離れた左に持ち込んでシュートを決めていた。トリッキーな技ばかり目立つが、原則を守っている。さもなければ、ブロックに遭うからだ。
Jリーグでは決まっているシュートが入らない。もしくは、Jリーグでは止められていたはずのシュートが入ってしまう。そこに差が出るのだ。
その修羅場を経験しているか。
それこそ、「世界」の中身なのだろう。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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常に相手ディフェンスからボールを遠ざけ、フィニッシュできるか。
レアル・マドリーのヴィニシウス・ジュニオールも、ザルツブルク戦ではスルーパスで抜け出すと、一度は右足で遠いところに持ち込み、回り込んできた相手と入れ替わり、相手から離れた左に持ち込んでシュートを決めていた。トリッキーな技ばかり目立つが、原則を守っている。さもなければ、ブロックに遭うからだ。
Jリーグでは決まっているシュートが入らない。もしくは、Jリーグでは止められていたはずのシュートが入ってしまう。そこに差が出るのだ。
その修羅場を経験しているか。
それこそ、「世界」の中身なのだろう。
文●小宮良之
【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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