岡崎慎司が背負った「9番」。伝統を引き継ぐ空久保善は“強い滝二”を取り戻すため「結果にこだわって貪欲にプレーしたい」【総体】

2025年07月26日 安藤隆人

スペースを見逃さず「行けると思いました」

滝二の「9番」を託された空久保。帝京大可児戦では2得点をマークした。写真:安藤隆人

[総体1回戦]滝川二 6-3 帝京大可児/7月26日/JヴィレッジP7・8

 8大会ぶり24回目のインターハイに挑んでいる兵庫の名門・滝川第二は、1回戦で帝京大可児と対戦。6-3の乱打戦を制し、2回戦進出を果たした。

 この試合で先制弾を含む2ゴールをマークしたのが、エースナンバー9を背負うFW空久保善だ。164センチと小柄だが、爆発的なスプリント、ドリブルとパスの質と判断の良さを武器に、ゴールにぐいぐいと迫っていくストライカーは、強い決意を持って今大会に臨んでいた。

「滝二の9番はゴールを奪わないといけない存在。(昨年度の)選手権ではチャンスがあったのにゴールを決められなくて、2回戦で敗退した。だからこそ、3年生になった今年は全国でゴールを決めて、チームを勝たせないといけないと思っていました」

 滝川二の9番と言えば、日本代表の通算得点ランキングで3位の50ゴールという記録を持つ岡崎慎司だ。空久保とは21歳も離れているが、やはりレジェンドである岡崎は憧れの存在で、伝統を引き継ぐ者としての責任は重い。
 
「ゴール前に飛び出していく、飛び込んでいくプレーを得意としているので、岡崎さんのあの凄まじい飛び込みは参考にしています。高校時代から岡崎さんは重要な試合で必ずゴールを決めていて、特に全国の舞台で勝負強かったと、小森康弘監督(岡崎の高校3年間は滝川二のコーチを務めていた)から言われているので、僕も同じ番号を託された以上、より結果にこだわらないといけないと思いました」

 重要な全国初戦でその決意を形にした。前半3分、2トップの一角として出場した空久保は、中盤に落ちてボールを引き出し、鋭いターンからドリブルで敵陣に進入していく。相手のボランチがプレスにくるなか、右ワイドに走り込んだMF北村勇貴へ展開すると、そのまま相手のCBとSBの間に加速していく。

「スペースが空いていたのと、相手のマークが曖昧だったので、そのまま北村からリターンをもらえたら、行けると思いました」と、北村に展開してから「出せ!」と叫んで走り込むと、正確なリターンパスが来た。ボールを受けてからさらに加速し、GKとの1対1を冷静に制してチームに先制弾をもたらした。
 

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