誰が加入し、誰が去るのか――アトレティコ・マドリーのFW事情

2016年07月20日 下村正幸

大物ストライカーの獲得にこだわっているシメオネ監督。

チャンピオンズ・リーグ決勝進出に大いに貢献したグリエーズマン(右)とF・トーレス(左)だが、さらなる躍進のためには大物ストライカーが必要だとシメオネ監督は考える。 (C) Getty Images

 2015-16シーズンのアトレティコの最大の誤算はFWの不発だった。
 
 F・トーレスが尻上がりに調子を上げたとはいえ、シーズンの大半はセカンドトップタイプのグリエーズマンに頼りっきり。新加入のジャクソンに至っては、冬の時点で失格の烙印を押され、破格のオファーが届いた広州恒大に放出された。
 
 ラシン・クラブ時代のシメオネ監督の教え子で、指揮官たっての希望で獲得したビエットも、最後までアトレティコのスタイルに適応できなかった。
 
 今夏の最重要強化ポイントがFWであるのは、そうした背景を考えれば当然のことだろう。
 
 獲得資金に関しては、前述したジャクソンの売却益(4200万ユーロ)を充てる考えで、さらに首脳陣は、ビエットや、レンタル先のエイバルで18ゴールを挙げたボルハ・バストンも同じく資金捻出のため売却する意向だ。
 
 全てはシメオネ監督が大物ストライカーの獲得にこだわっているからこそで、そのトップターゲットはD・コスタ。得点力と豊富な運動量を武器とするプレースタイルは、シメオネ監督の求める理想のFW像に一致する。
 
 ただ、選手自身も復帰を切望しているため、話はトントン拍子で進むかに思われたが、チェルシーのコンテ新監督が放出に難色を示しているらしく、交渉は難航している。
 
 他にもオーバメヤン(ドルトムント)、カバーニ(パリSG)、イグアイン(ナポリ)、モラタ(R・マドリー)、イカルディ(インテル)らが候補に挙がるが、難易度はさらに高まるだろう。
 
 そして、これらの選手が獲得できなかった場合のBプランが、バッカ(ミラン)とラカゼット(リヨン)。もっとも、投資額は抑えられるが、彼らが妥協を許さないシメオネ監督を満足させられるかは分からない。
 
 契約を1年延長したグリエーズマンは残留の可能性が高い。再契約の交渉が続いたF・トーレスは、その期間を当初の2年から1年に短縮されたことに不信感を抱いているようだが、最終的にはクラブ愛を優先して契約を延長している。
 
文:下村 正幸
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2016年7月21日号より加筆・修正
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