イエロー覚悟のプレー後に、チームを鼓舞。横浜FMの主将・喜田拓也が示した“気持ちで負けない”姿勢

2025年07月06日 金子 徹(サッカーダイジェスト編集部)

「心を鬼にして、火をつけたかった」

ボランチで攻守に奮闘した喜田。キャプテンシーも光った。写真:滝川敏之

[J1第23節]横浜FC 0-1 横浜FM/7月5日/ニッパツ三ツ沢球技場

 自分への、そしてチーム全体への怒りにも見えるほどの鼓舞だった。

 7月5日にニッパツ三ツ沢球技場で行なわれた横浜FCとの一戦で、横浜F・マリノスの喜田拓也が67分に見せたワンシーンのことだ。

 ゲームはスコアレスで進むなか、喜田は対峙した横浜FCの新保海鈴にドリブルで交わされると、足を引っかけて止めてしまう。その後、笠原寛貴主審からイエローカードを提示されたトリコロールの主将は、守備位置に戻りながら、チームの全員に向け大きなジェスチャーを交えて何度も手を叩いた。
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 今節までに3枚のイエローカードを受けていた喜田は、あと1枚もらってしまうと累積警告で次節は出場停止。そういう状況もあったなかで、自分のプレーで何を示したかったのか。試合後にその想いを訊くと、こう明かしてくれた。

「試合を通して、やり方の云々はあるけど、気持ちで負けるなってみんなと共有していた。あの時間は出足が遅かったり、ふわっとしているのを感じていたので、自分が示さないといけないと思った。

 もちろんカードはないほうがいいし、あと1枚ってことも知っていたけど、それで恐れていかないっていう選択肢はなかった。逆に、みんなに火をつけるじゃないけど、奮い立たせたかった。きつい時間帯だったし、暑さもあった。みんな頭が働き切らないこともあったと思うけど、ひとつ踏ん張って、勝ちに繋げないといけない。そこは心を鬼にして、火をつけたかった」

 横浜FMは78分に、渡辺皓太がボックス内で倒されて獲得したPKを、アンデルソン・ロペスが決めて1-0で勝利した。横浜ダービーでの勝因には、後半に横浜FCの運動量が落ちたことなども考えられるだろう。ただ、個人的には喜田の行動がチーム全体に与えた影響も小さくないのではないかと思う。

 やはり、喜田は頼りになる。そう感じた試合だった。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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