まさかの3連敗で首位陥落。ブーイングも浴びた道半ばの鬼木アントラーズは立ち直れるのか

2025年07月06日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「まだまだ力をつけなければいけないチーム」

今季から鹿島を指揮する鬼木監督。首位にチームを導いてきたが、ここにきて3連敗を喫した。(C)SOCCER DIGEST

[J1第23節]川崎 2-1 鹿島/7月5日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 サポーターからはブーイングが飛ぶ敗戦であった。

 連敗中だった鹿島は、今季就任した鬼木達監督の古巣である川崎とアウェーで対戦し、先制に成功するも、逆転負けでまさかの3連敗。

 守り続けてきた首位の座から陥落し、逆にトップに躍り出た柏と勝点3差の4位に後退した。

 川崎戦、前半の内容は悪くはなかった。序盤にヒヤッとするクロスを数本、ゴール前に通されたが、その後は真骨頂である球際の強さ、そして相手最終ラインの背後へのロングパスを活かし、チャンスを作った。

 25分の先制ゴールも相手の対応ミスとはいえ、CBキム・テヒョンのロングフィードに右サイドハーフの松村優太が抜け出し、折り返しをレオ・セアラが決めたものだった。

 それでも前半終了間際にCKから伊藤達哉にVAR判定にもなったシュートを決められ、58分にはビルドアップのミスを突かれ、逆転弾を許す。後半は選手交代も奏功せず、反撃はならなかった。

 鬼木達監督は振り返る。

「自分たちらしくもっともっとアグレッシブな戦いをしたかった。勝ちたかった。そういう思いでいます。先制した中で2点目を取り切れないところを、自分も含め、もっともっと強気でやらなければいけない部分だと思いますし、あとはやっぱり簡単に失点しないとか、そういうところも含めて、勝ちにこだわるところをもう一回見直さなければいけない。そういうゲームだったと思います。

 長いボールも短いボールもおりまぜないと、なかなか苦しいゲームになります。その使い分けがまだまだ浸透し切れていないと言いますか。そこは自分のところでコントロールしなければいけないところ。あとは選手が試合のなかで、相手が何を嫌がっているかをもっともっと感じられれば。当然ボールを持ちたいチームなので、ボールを(相手に)渡すとしても、じゃあどこの位置なのかとか、基本的に自分たちがボールを握ったほうが相手は嫌がるはずなので、そこの勇気が足りなかったとも感じます。

 やり続けること。本当に細かいところを詰めていく。今日で言えば、球際とか切り替えとか、そういうところでボールが持てないのであれば、やっぱり圧倒しなきゃいけない。でも、そこでも後手を踏んでいましたし、そういう意味で言うと、やるべきことは多いかなとは思っています」

【動画】鹿島のレオ・セアラのゴール
 痛い3連敗だ。もっとも鬼木監督が就任した今季の鹿島は、指揮官が川崎時代に培ってきた"技術力を活かしたテクニカルなサッカー"と鹿島らしい"勝負にこだわるサッカー"をブレンドする難しいスタイルにチャレンジしている最中である。

 ここまでは、内容に課題を残しながら勝ち切る姿はさすがだったが、折り返しをすぎ、相手の対策も進んでいくなかで失速している面もあるのだろう。

 勝ちながら成長できればベストだが、「自分たちは全然完璧なチームではない」(鬼木監督)だけに、ポジティブに考えれば、今の悔しさはさらに進化するための今後の糧にもなるはず。

 試合後に声をかけた鬼木監督も、悔しさ、自らの反省を抱えながら、瞳は変わらずに燃えていた。川崎時代、このような苦境は何度も経験してきた。それでも勝負師はチームを奮い立たせてきた。

「選手も自分自身もまだまだ力をつけなければいけないチームですし、これに一喜一憂することなく、何度も言いますが、今はもうやり続けるしかない、力をつけるしかないと思っていますので、順位で何かがぶれるということはないです。それは選手にも首位にいる時からずっと話していることですし、自分たちはまだまだそういう立場だという話をしています。そういう立場になったのならば、必死になってついていくということが重要なのかなと思いますし、そういう話は事前に選手にもしています」

 今後は少し間を置き、7月16日の天皇杯の長崎戦を挟んで、7月20日にはホームでの首位の柏との大一番を控える。"鬼木アントラーズ"の新たなチャレンジに結果が結びつくことを信じたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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