【大宮】チームを救った江坂任の同点弾は、直前の“口撃”が生んだ!?

2016年07月18日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「審判に『(遠藤選手が自分を)掴んでいるから見てくれ』と言った」

前半終了間際にCKから江坂のヘッドで同点。横谷のキック精度もさることながら、“口撃”がノーマークという状況を生んだ。(C) SOCCER DIGEST

[J1・第2ステージ4節]浦和 2-2 大宮 7月17日/埼玉
 
 37分に柏木陽介の左足から放たれたボールは、綺麗な弾道を描いて、ゴール左上隅に吸い込まれた。第1ステージに行なわれたホームでの"さいたまダービー"と同様に、先行を許す苦しい展開。スコアは1-0のまま、前半を終えようとしていた。
 
 もし、江坂任の同点弾が45+4分になければ、違った結果になったかもしれない。それほど、背番号7がアディショナルタイムに挙げた得点はチームにとって重要なゴールだった。では、なぜノーマークでの豪快なヘディングができたのだろうか。
 
 実は、前半4度目のCKであったことが大きな意味を持つ。江坂のマークについていたのは、リオ五輪代表の遠藤航だった。「セットプレーでずっと密着されていた。それが嫌だった」ため、ちょっとした"口撃"を仕掛けた。
 
「審判に『(遠藤選手が自分を)掴んでいるから見てくれ』と言ったら、離れてくれた。その瞬間に、河本(裕之)さんを壁に使って抜け出した。(横谷)繁くんが良いボールを蹴ってくれたし、狙いどおりのポイントに入れた。タイミングも良かった。
 
 あとは、強く叩こうと意識しただけです。前日練習で、同じような形からドフリーのシュートを外していたので、確実にミートしようと」
 
 FKも含めれば14回目のセットプレーでのゴールだったが、「ずっと密着されていた」事実が審判への「見てくれ」という発言となった。そして、回数を重ねていたからこそ遠藤は厳しい目に晒されることを怖れて、少し距離を取ってしまったのではないだろうか。
 
 もちろん、それだけではない。バスケットボールのスクリーンプレーのように壁役となった河本。ピンポイントのボールを供給した横谷。そして、タイミングを逸しなかった江坂。すべてがマッチしたからこそ、救いの一撃が埼玉スタジアムで生まれたと言える。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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