「我々が真に目ざすところだ」ジョルディ・アルバの言葉は、そのままJリーグにも当てはまるのではないか【クラブW杯戦記】

2025年07月02日 浅田真樹

「多くの若い選手がもっと成長できると信じている」

メルセデスベンツスタジアム内に飾られている大きな写真。アトランタ・ユナイテッドが2018年にMLSカップを制した時のものだ。写真:浅田真樹

 今回のクラブ・ワールドカップの試合会場である、アトランタのメルセデスベンツスタジアム。開閉式の屋根がついた巨大ドームは、来年のワールドカップでも、準決勝を含む8試合が行なわれる。

 そんなスタジアム内のコンコースの一角に、誇らしげにカップを掲げる選手を中心とした、歓喜の瞬間をとらえた大きな写真が飾られている。

 中央に映っているのは、かつてアメリカ代表でも活躍したGK、ブラッド・グザン。40歳を過ぎた彼が現在も所属する、アトランタ・ユナイテッドが2018年、MLSカップを制した時のものだ。

 実はこのスタジアム、MLSのアトランタ・ユナイテッドとNFLのアトランタ・ファルコンズが、ともにホームスタジアムとして使用しているのだが、アメリカではこうした共用は珍しい。

 というのも、特別な人気を誇るNFLは、できるだけ多くの観客を収容できる巨大スタジアムを必要とするが、その規模だと、MLSは持て余してしまうからだ。

 裏を返せば、アトランタ・ユナイテッドは、それだけの集客力があるということ。ここ数年は、1試合平均の観客数が4万5000人を超え、MLS最多を誇っているのだから納得だ。

 とはいえ、これはあくまでも例外である。MLSの歴史は今年で30年目と、Jリーグよりも浅く、人気も徐々に高まってきてはいるものの、成長途上というのが現状だ。

 だからだろうか、今大会のインテル・マイアミも、一クラブとしてというだけでなく、MLSの代表として出場している意識が、選手やスタッフはもちろん、取材するメディアにもあったように感じる。
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 そのメルセデスベンツスタジアムで行なわれたラウンド16、パリ・サンジェルマンとの試合後、ジョルディ・アルバがこんな話をしていたのが印象的だ。

「前半は失点に苦しんだが、後半は良いプレーをしたと思うし、それは誇りに思うべき。この経験は、我々が自信を深めるのに役立つはずだ。良いプレーをし、何のためにプレーしているのかを理解していれば、どんな相手とでも戦えるだろう」

 チームのアイコンであるリオネル・メッシを筆頭に、アルバ、セルヒオ・ブスケッツ、ルイス・スアレスと、ベテラン選手の獲得で注目を集めるインテル・マイアミだが、実は若いチームだと言ってもいい。

 たとえば、パリSG戦の先発メンバーには2000年代生まれの選手が4人含まれ、控え選手も合わせれば、全22人のうち半数が2000年代生まれ。最年少のサンティアゴ・モラレスは、まだ18歳なのだ。

 だからこそ、経験豊富な左サイドバックは力を込めて語る。

「若い選手たちが学び続けること、そして彼らが将来、飛躍的に成長できるかどうかを見極めることが重要だ」

 結果的にインテル・マイアミは、パリSGに0-4という大敗を喫した。しかし、この大会に出てみなければ、分からないこともあったはずだ。アルバが続ける。

「多くの若い選手がもっと成長できると信じているし、彼らは今、着実に成長している。この(試合のような)激しさをMLSに持ち込むことこそ、我々が真に目ざすところだ」

 かつてはバルセロナで、スペイン代表で、栄華を極めた選手の言葉は、そのままJリーグにも当てはまるのではないだろうか。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

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