CWCはクラブ世界一を決める大会なのか。圧倒的な世界最高峰はCL、アル・ヒラルが波乱を起こせたのも…【コラム】

2025年07月01日 小宮良之

同じ舞台に立つ資格もない実力のチームも

ラウンド16でマンチェスター・シティを破る番狂わせを演じたアル・ヒラル。(C)Getty Images

 クラブワールドカップ(CWC)は、グループリーグで開催国枠のインテル・マイアミのリオネル・メッシ、ルイス・スアレスなどが衰えを知らない活躍を見せるなど盛り上がりを見せた。フットボールの抗えない魅力か。ダビデとゴリアテではないが、アジア、アフリカ、北中米のチームが欧州や南米の名門、強豪に挑む構図はエンターテインメントだ。

 アジア枠のアル・ヒラルは、最大の番狂わせをやり遂げたと言える。レアル・マドリー、ザルツブルクに引き分け、メキシコのパチューカを撃破。見事にグループリーグを突破した。モロッコ代表GKボノはグループリーグのベストイレブンだったのではないか。決勝トーナメント1回戦では、プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティを4-3で破るアップセットを起こした。

 しかし一方、改めてクラブ世界一を争う必要はあるのか、問われるべきだろう。

 今や世界最高峰のリーグと言えるのは、欧州チャンピオンズリーグ(CL)で間違いない。技術、戦術、体力、メンタル、あらゆる点で最高給の選手、監督が集結。そこで切磋琢磨している彼らが圧倒的に最高峰である。

 アル・ヒラルが波乱を起こせたのも、ほとんどそっくりCLの猛者たちを引き抜いてきたからだろう。指揮官はインテル・ミラノでファイナリストになったシモーネ・インザーギ。GKボノ、DFカリドゥ・クリバリ、レナン・ロディ、ジョアン・カンセロ、MFルベン・ネベス、セルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ、FWマウコムといずれもチャンピオンズリーガーだ。

 昨シーズン、CLの準々決勝4試合のレベルを見せられるリーグは他にないだろう。個人の技量の高さだけではない。ハイプレス、ハイライン、ポゼッション、ビルドアップ、トランジション、カウンターなどあらゆるタクティクスを試合が推移する中で変化させ、適応させられる。そうして鍛えられたチームの集まりだ。

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 たとえばオセアニア王者のオークランド・シティは、バイエルン・ミュンヘンに0-10、ベンフィカに0-6と大敗を喫している。同じ舞台に立つ資格もない実力だった。ドイツ、ポルトガルの国内リーグ3、4部のクラブに相当する弱さだ。

 アフリカ、アジア、北中米のクラブは健闘した。ただ、プレーの質や駆け引きで大きく劣った。インテル・マイアミも、ラウンド16でパリ・サンジェルマンに0-4と完敗した。本当の世界一を決めるなら、FCバルセロナ、リバプール、アーセナルが出場していなかったらおかしい。

 欧州の長く厳しいシーズンを終えた選手たちが、こうした大会を戦わせられることは大きな損失になり得る。来シーズンの準備が限られ、チームはマイナスのスタートになるし、疲労を引きずって新シーズンに挑むことで不調や大きなけがを負うかもしれない。ただでさえ、他にもいろんな大会が肥大化し、創設されているのだ。

 たとえ4年ごとであっても、マーケティング優先の大会を続けるべきか。しっかり検証すべきだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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