メディカル分野の専門家が【ケガ予防】のメソッドを大公開!――オスグッド・シュラッター病編

2016年07月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

ダッシュやジャンプといった動きが原因とされる。

同愛記念病院 関節鏡・スポーツセンター
立石智彦先生

 クラブや学校の部活動で日々トレーニングに励む小中高生を中心に、日常的にサッカーをプレーしていれば怪我のリスクがつきもの。しかし「自分の身体に常に目を向けることで怪我のリスクは減らせます」と言うのは同愛記念病院の医師・立石智彦先生だ。
 
 本企画では、サッカーで起こりやすい怪我の仕組みやその原因、また怪我からの復帰の流れや予防トレーニングを、立石先生と、日本代表選手も信頼を寄せるトレーナーの並木磨去光氏、東洋大サッカー部トレーナー・山浦伊吹氏の監修のもとで紹介する。
 
 今回は、成長期の代表的なスポーツ障害である、「オスグッド・シュラッター病」を取り上げたい。
 
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■オスグッド・シュラッター病の仕組み
 
「オスグッド・シュラッター病」は、オーバーユースによる成長期のスポーツ障害の代表的疾患である。
 
 成長期は急激に身長が伸びるため骨も急成長を遂げるが、筋や腱は同じように成長しない。そのために生じる大腿四頭筋の柔軟性低下をきっかけとして、ジャンプやダッシュなどの繰り返しの動作で大腿四頭筋による強大な牽引力が発生。膝蓋靭帯が脛骨につながっている部分(付着部)が剥がれたり、炎症を起こしたりする。これが、オスグッド・シュラッター病のメカニズムだ。


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■オスグッド・シュラッター病の原因
 
 これはサッカーに限らない障害だが、小学校高学年から中学生に多く見られ、ダッシュやジャンプといった動きが原因とされる。また、小学校から中学校に進学し、練習内容がハードになると、身体がついていかずに発症するケースもある。
 
 まずは脛骨の出っ張っているところを押さえてみて、違和感がないか常にセルフチェックをしておきたい。違和感がある場合は、早めに休むことが大切。痛みを感じる際はしっかりとアイシングをしよう。

■復帰までの流れ
 
 オスグッド・シュラッター病による痛みは、大きく4段階に分けられる。
 
1――練習前は痛いが練習中に身体が温まってくると痛くない。
2――練習後は痛いが翌朝は痛くない。
3――練習中も練習後も翌朝も痛い。
4――常に痛い。
 
 もし、第3段階となったら競技を休むことが大切だ。このように常にセルフチェックを行なうことで、再発する可能性は低くなり、競技にも早く復帰できる。
 
 また、練習後の痛みはアイシングを行なって早めに取り除きたい。ストレッチボールなどを使ったマッサージも効果的だ。痛みを抱えたまま競技を続けると、患部をかばう動作が起きるため、他の部位を傷めることにもつながってしまう。

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