指揮官スキッベの選考基準は至ってシンプル。試合で結果を出せるか。ハイレベルな競争が続く広島は、活力に満ちて夏を駆け抜ける

2025年06月23日 寺田弘幸

「競争がないとJ1の優勝も見えてこない」

横浜FC戦は4発完勝の広島。暫定3位に浮上した。写真:永島裕基

[J1第21節]横浜FC 0-4 広島/6月22日/ニッパツ三ツ沢球技場

 横浜FCに4-0の快勝を収めた広島は、監督も選手も満ち足りた表情でニッパツ三ツ沢球技場を後にした。

 6月に新加入したFWの木下康介は移籍後初得点を挙げ、「広島に来て最初のゴールが自分の中ですごく重要だったので、それを天皇杯を含めて3試合目で取れたのは大きなこと」と安堵していた。

 ルヴァンカップのプレーオフラウンドで退場して、前節は出場停止だった加藤陸次樹も戻ってきてゴールを挙げ、「得点を量産したいっすね。この勝利はすごく大きい。次の試合に向けてもモチベーション高く練習に臨めると思います」と明るい展望を語った。

 今節は塩谷司が欠場した影響により先発のチャンスを掴んだ新井直人は、1得点・1アシストの結果を出してみせて、「今日はたぶん、結果を残せると思っていた。自分のイメージ通りに得点に絡むことができた」と胸を張り、チーム内の競争が激しくなっていることを歓迎していた。

「毎日が刺激的です。怪我人が戻ってくれば、また誰かが出れなくなるでしょうけど、それはチームを引き上げるうえでは必要な要素かなと思います。いろんな選手が結果を出すことによってチームが強くなると思いますし、個人としても成長できる。今日は出番がなかった選手が、次の試合で結果を出すことだって十二分にあるでしょうし、また練習で良い競争をしたいと思います」
 
 公式戦2試合で出場停止となり、試合を外から見る立場を経験した加藤は「試合に出れない選手の気持ちや、いろいろ苦しんでる選手の気持ちに少しなれて、感じることは多かった」と言い、チーム内に競争があることを喜んでいる。

「やっぱ、こうやって競争がないとJ1の優勝も見えてこないと思う。日頃からトップレベルのトレーニングができるのはすごく幸せですし、このなかで勝ち取ってしっかり結果を出していきたい」

 加藤や新井たち実力者が競争の中にいることが、広島の競争力の高さを物語っているが、これから各ポジションで競争がヒートアップすることは必至だ。

 約2か月半ぶりにピッチに戻ってきた中島洋太朗は、いきなり非凡なパスセンスを披露して得点を演出し、ミヒャエル・スキッベ監督は「彼が持っているものは、次の試合も、それから今後何か月も、我々のチームに必要になっていくものなので、本当に嬉しく思っています」と喜んでいる。

 中村草太は前節に続いて左ウイングバックでプレーし、またもアシストをマーク。その才能に惚れ込むドイツ人監督は「ポジションはどこだろうが、自分たちが試合をやるうちは必ずどこかのポジションで出ていると思います。彼はどこからでも点を取れる選手です」と絶賛している。

【画像】小野伸二や中村憲剛らレジェンドたちが選定した「J歴代ベスト11」を一挙公開!

 

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