事実上“日本メディア専用”の場所も。インテルの取材現場で思わぬおもてなし。ゾマーは「カワ、カワ...カワサキ?」【クラブW杯戦記】

2025年06月23日 浅田真樹

世界に向けたプロモーションの場に

浦和戦前日に取材対応したC・アウグスト。写真:浅田真樹

 現在アメリカで開かれているクラブ・ワールドカップでは、ヨーロッパ勢の意外な苦戦が続いているが、それでも彼らは大会の華。やはり現地での人気は高い。

 しかしながら、有名選手が揃えば揃うほど、取材のハードルが高くなるのも確か。かつて日本でクラブ・ワールドカップが開かれていた際、レアル・マドリーが来日したことがあったが、決勝の後でさえも選手は取材エリアをほぼ素通りという、実につれない対応をされたこともあった。

 だからこそ、今大会でのインテルの取材対応には驚かされた。それは、浦和レッズ戦前日のことだ。

 今大会は、試合前日にすべてのチームが公式練習を行ない、その冒頭15分をメディアに公開するとともに、3人の選手が取材対応をすることになっている。

 この日、インテルは事前に、ヤン・ゾマー、カルロス・アウグスト、バンジャマン・パバールの参加を発表していた。ここまでは、あくまでも大会のルールに沿った対応である。別に驚くものではなく、ごく当たり前のことだ。

 しかし、実際に練習場へ足を運んでみると、各選手がそれぞれ場所を移動しながら、まずはイタリア語のテレビ、続いてイタリア語の記者、そして英語のテレビと記者と、3通りの取材対応をしてくれたのである。

 言い方は悪いが、ヨーロッパを代表する人気クラブともなれば、時にぞんざいな扱いをされることも少なくないなか、これほどきめの細かい対応は珍しい。
【画像】小野伸二や中村憲剛らレジェンドたちが選定した「J歴代ベスト11」を一挙公開!
 しかも、英語対応とはいっても、イタリア以外で取材に訪れていたのは、日本のメディアのみ。つまりは事実上、"日本メディア専用"の場所が用意されていたわけだ。

「バイエルンでプレーしていた時、トーキョーで試合をしたよ(2023年夏のジャパンツアー)。相手は確か、カワ、カワ...カワサキ? たぶんそうだ」

 そんな話をしてくれたのは、ゾマーである。

 ただ、日本のメディアは言うに及ばず、インテル番の記者たちにとっても、せっかくの取材機会とはいえ、チームは実質プレシーズン状態とあって質問も手探り状態。それほど踏み込んだ話に発展しようもない。

 新しい監督はどうか。心身両面でのコンディションがどんな状態か。話題はその程度に終始。インテルが今大会に臨むうえでの難しさを物語る、微妙なやり取りが繰り返されていた。

 ちなみに、対戦相手の浦和についてのコメントを紹介しておくと、アウグスト曰く、「みんな知っての通り、日本のチームは非常に組織化されている。彼らは走力があり、自分の仕事をしっかりとこなす」。

 またパバール曰く、「彼らは間違いなく良いチーム。チームの指示が尊重され、やるべきことがAからZまで徹底的に行なわれる」といったところだ。

 ヨーロッパの人気クラブであれば、この時期、アジアや北米への海外ツアーを行なっていても不思議はない。実際、クラブ・ワールドカップに出場していないリバプールは来月、日本にやってくる。この大会が開かれているのは、そんなタイミングなのである。

 だからこそ、彼らにとって今大会は、タイトルマッチであると同時に、世界に向けたプロモーションの場にもなっているのかもしれない。

 思わぬおもてなしに、そんなことを感じたインテル取材だった。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

【画像】美女がずらり!! 真野恵里菜、平愛梨、高梨臨…新旧日本代表を支える"タレント&モデルの妻たち"

【画像】長澤まさみ、広瀬すず、今田美桜らを抑えての1位は? サカダイ選手名鑑で集計!「Jリーガーが好きな女性タレントランキング」TOP20を一挙紹介

【記事】「大谷翔平って何であんなに凄いの?」中村俊輔の素朴な疑問。指導者としてスーパースター育成にも思考を巡らせる
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事