指揮官シメオネがさすがの采配力を発揮。アトレティコが“ゲーム運びの差”でCWC初白星。B組の鍵はサウンダーズが握る?【現地発】

2025年06月20日 河治良幸

応援グッズを身につけたファンも多かった

アトレティコを率いるシメオネ監督。勝負を決定づけるバリオスの3点目に感謝した。(C)Getty Images

 アメリカで開催されているクラブ・ワールドカップ(CWC)もグループステージの二巡目に入り、B組では地元MLSのシアトル・サウンダーズがスペインのアトレティコ・マドリーと対戦。政府が定める祝日ということもあってか、5万人を超える観客が詰めかけた。

 前日には隣接するTモバイル・パークでMLBのシアトル・マリナーズがボストン・レッドソックスとのホームゲームを行なったが、スタジアム周辺の雰囲気も引けを取らないレベルであり、サウンダーズのユニホームを着たり、応援グッズを身につけたファンも多かった。

 サウンダーズの応援が鳴り響くなか、試合は初戦で欧州王者のパリ・サンジェルマンに0-4の惨敗を喫したアトレティコが、スタートから強度の高いプレーで相手を押し込み、11分にリードを奪った。

 サウンダーズのGKシュテファン・フライが大きく蹴ったセカンドをアトレティコがマイボールにすると、左センターバックのロビン・ル・ノルマンが前に出ながらダイレクトで、ノルウェー代表FWアレクサンデル・スルノットに縦パスを通す。

 スルノットは二人のDFにチャージされるも、ボールをしっかりとキープしながら右サイドのジュリアーノ・シメオネを前に走らせた。持ち前のスピードを活かして背後を狙うと、付いてきた左センターバックのジョン・ベルをマイナスに外して中にパス。

 最後は、左サイドから中央に流れてきたパブロ・バリオスが右足で捉えた巻きぎみのシュート。ボールはクロスバーに当たりながらもゴールラインを割った。

 その後もサウンダーズ陣内に10人が入るほどの押し上げで、アトレティコが立て続けにチャンスを作る。

 W杯予選のイタリア戦でもゴールを奪ったスルノットが、アルゼンチン代表MFロドリゴ・デ・パウルからの絶好なラストパスを受けるも、至近距離のボレーを上に外してしまうなど、フィニッシュの精度を欠いて追加点を取りきれず。

 右外からゴール方向に仕掛けたシメオネが倒されたシーンも、長いVARチェックからのオンフィールドレビューでノーファウルに。そうこうするうちにサウンダーズがアトレティコのテンポに慣れてきたことで、試合は拮抗状態になった。
 
 それでも後半に、ベルギー代表130キャップを誇るアクセル・ヴィツェルを投入したアトレティコはいきなり、得点に成功。そのヴィツェルがすぐさま大きな仕事をやってのける。

 47分、セットプレーの流れから、マルコス・ジョレンテのシュートがクロスバーに当たった跳ね返りから、ル・ノルマンの左足ボレーでの折り返しを得意のヘッドで叩き込んだ。

 これで完全にアトレティコのゲームになったかと思いきや、サウンダーズが反撃。相手のロングボールを奪ったところから、積極的に厚みのある攻撃を仕掛ける。ドリブルで攻め上がったボランチのオベド・バルガスが、左からファーにボールを入れると、FWダニー・ムソフスキの折り返しが相手に当たってこぼれたボールを、スロバキア代表MFアルベルト・ルスナークが至近距離の右足シュートに持ち込み、世界的なGKとして知られるヤン・オブラクを破った。

 黄緑色のユニホームを着たサポーターで溢れかえるルーメン・フィールドは俄然ヒートアップしたが、その5分後に、ホームチームにとっては無慈悲なまでのゴールが、バリオスによってもたらされた。

 右のロングスローをニアでスルノットと競ったベルが中にクリアしてしまい、ゴール左に詰めていたバリオスが迷うことなく、ワンバウンドしたボールを右足で合わせると、シュートはゴール右隅に吸い込まれた。

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