"10番"、そして"キャプテン"という２大エネルギーが注入されたからだろうか。インドネシアとのホームゲームでスタメン出場した久保建英はこれまでとひと味もふた味も違う印象だった。

　2025年６月10日、北中米ワールドカップ・アジア最終予選の最終節で日本代表がインドネシア代表を６−０と大勝した一戦で、勝利の立役者のひとりになったのが１得点・２アシストを決めた久保だった。

　19分にボールを撫でるようなフェイントから右足でゴールネットを揺らすと、45＋６分には絶妙なスルーパスで鎌田大地のゴールを演出。さらに58分にはこれぞ"マジック"と評すべきノールックループパスで町野修斗の得点もお膳立てした。ただ、久保ならこれくらいの活躍は当然との見方もできる。

　この日、何より目を見張ったのは攻撃ではなく守備である。鋭いプレスバックからの力強いボール奪取は、一度や二度ではなかった。まるで「これが日本代表の水準ですよ」と"後輩"の代表歴の浅い選手たちにメッセージを送っているようにも映った。

　実際、久保は試合後に「いつもキャプテンマークを巻いている遠藤（航）選手が球際のところだったり、ネガティブトランジション（攻→守への切り替え）の部分でしっかりとしたものを見せてくれるので、今日は僕が遠藤選手になったつもりで、切り替えのところは誰よりも速くやろうと心掛けていました。何回か良いパスカットから、またボール奪取から攻撃につなげられて良かったです」とコメントしている。
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　日本代表戦士はどうあるべきか、この日の久保はそのお手本を示した。"キャプテン久保"について遠藤は「まだ似合ってないかなと思いますけど」と言うが、数年後は分からない。

　ミックスゾーンでの発言も、代表デビュー当時とはまるで違う。メディアに言わされているのではなく、しっかりと"見出し"になるような言葉をチョイスしてむしろメディアを操る。プレーはもちろん、そんな話術からも十分過ぎるほどの貫禄が窺える。

　失礼を承知で、断言しておく。数年後、久保は自他ともに認める日本代表のキャプテンになる。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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